ザクレイ
普通に、隣にいるのが当たり前なのが続いて数年。出会った当時に交わした『約束』を忘れたわけじゃないのに、居心地の良さを知ったお陰で今に至るわけだが。独りじゃ考えなかった事も、二人だとまるで当たり前のように考えるのが当たり前で。こいつが、レイがいるのといないのじゃ俺の人生全然違うんだなとか今更思ったのは何度目か。

「レイ」
「なに、ザック」
「…なあ」
「?」

名前を呼べばすぐに返ってくる返事も、一緒に呼ばれる俺の名前も。全部が当たり前で心地いい。ああこれが、『幸福』か。そう思うようになって、同時に思い出す『約束』には複雑でしかない。…けど、だ。追われる身、俺が死んだらきっとレイも死ぬんだろうなとか思うのは自惚れだ。約束破って死ぬ事はしたくなければこいつを黙って他人に殺させる気もない。レイを『殺してやれる』のは俺しかいないからな。

「俺がお前を殺すまで、死ぬまで俺から離れんじゃねーぞ」

愛の告白なんざそれこそ虫酸が走る。なら、俺達らしくだ。生きるのも死ぬのも、永遠に。

「(神頼みなんざよりよっぽど確実だろ)」

繋ぎ止めるほどでもねぇ。その証拠にだ、レイは心底幸福そうに笑った。



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