ベリグラ
恐怖に慄く少年を虐げるのは面白い、が。気持ちよくなきゃ意味がないとも思う。犯す気が無いにしろ、こう…抵抗と云うものをもう少し大袈裟にでも出来やしないものだろうか。震えるばかりで何も面白味のない、あの日オレに剣の切っ先を向けた特異点は一体どこへ行っちまったんだ。嗚呼、萎えるばかりで飽き飽きだ。

「なあ特異点、いいのか?このまま犯しちまうけど」

押し倒した身体、オレを見詰める恐怖の眼差し。泣き叫びやしない、暴れもしない。見誤ったか、このオレが。犯す気すら失せそうで、ノリ気すら見せないこの少年を煽る方法は。…嗚呼そうだ、たったひとつ、飛びっきりの餌があるじゃないか。

「あー、はは!君がそんな態度を取るのなら?蒼の少女の方がよっぽどオレを悦ばせてくれそうだよなあ。いいのか?喰っちまっても」

蒼の少女、口にしただけで特異点の纏う空気が変わる。あの華奢で小さな少女の柔肌が穢れる様を、喘ぎ啼く様を、何時も隣に居る君は一体どんな時にどんなシチュエーションで想像するんだ?なあ教えてくれよ特異点、何なら今ここにあの子を呼んで、実践なんてしちゃったら堪らなく興奮すると思わないか?嗚呼、想像だけでイきそうだ、君なんかよりよっぽど善い声で啼くんじゃないか?ほら、特異点、今直ぐここにあの子を、

「黙れ」

呼べよ。腹に突き刺さる短剣、鋭い痛みに垂れ流れ伝う血液。汚れるベッドはまるで処女の破瓜を連想させるようで。先程とは打って変わった鋭い視線にぞくりと背筋が粟立つ。いいねぇ、待ち焦がれたのはその眼だ。

「…怒りとか、表に出して露骨に感じるの…ルリアに伝わるから本当は嫌なんだけど…」

押し倒した特異点が、オレの身体を押し返し、起き上がる。力強い、震えるばかりの少年はもうそこには居ない。

「…とんでもない糞野郎を…どうやら調教し直さなきゃいけないみたいだから」

完全に形勢逆転だ。見下される心地よさ、嫌悪に満ちた眼差しが注がれる。嗚呼これだ、これだよ!ゾクゾクと、まるでこの視線だけで達してしまいそうだ。向けられる殺意に、嫌悪に。イイねぇ、その眼だ、なんて口を開けば。「気持ち悪」と吐き捨てられた。



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