数学
「(シャクだ…シャクだが、仕方ないんだ…)」


喧嘩相手にかりを作るのはなんとも気乗りしない。しかし今回のテストばかりは仕方がないんだ。


「遼、勉強教えろ」
「やだ」


ビキッ


嗚呼いけないいけない、思わず頭に血が上ってしまったようだ。深呼吸して、リラックスしなくては。


「りょ…遼、勉強教え「やだってば」


ビキビキッ


嗚呼クソ、誰かこいつを殴り飛ばしてくれ。さもなくば俺がこいつを殺ってしまいそうだ。


「手前、遼…人がせっかく優しく頼んでるってのによ…」
「どこが。大体さ、人に頼み事してるってわりに敬語がなってないんだよ。あと勉強って、全教科?なに、お前ってそんなに馬鹿だったっけ」


ビキビキビキッ


「…好き勝手に言いやがって…言いたい事はそれだけか」
「まあ…そうだね」


正直かなりムカつく。いやほんと、今にでも殺してやりたい気分。震える拳を抑えるが…そろそろ限界だ。なので。…次断ったら殺す。


「……………遼、俺に勉強を…」
「勉強?」
「…っ俺に、数学を…」
「数学を?」
「…っ教えて…く…、」
「く?」
「………〜っだあ!!畜生、遼!!俺に数学を教えて下さい!!おら言ってやったぞ馬鹿野郎!!」


嗚呼クソ死ねばいいのに。何が楽しいんだ、やってらんねぇぞ馬鹿らしい。どうせ断るんだろ。


「いいよ」
「よし殺す………って、は?」


殺そうと指の関節を鳴らしたのに。聴こえた言葉は予想外。


「…マジで?」
「うん。てか今殺すって言っただろ」
「………聞き間違えじゃね」
「そう?まあいいや…今回のテストは方程式頭に叩き込んでやり方覚えればすぐ解けるから、死ぬ気で覚えろよ」
「…おう(何だこの展開)」


これが世に言うツンデレか?いやデレてないな。よくわからんがまあいいや。ここは大人しく教わろう。


「…清平」
「あん?」
「オレが教えてやってんだから…良い点採れよ」
「え、」


…ああ、これがデレか。



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