後悔
※トウヤとトウコが双子設定





「バカッ!!」


パンッ、と。声と同時に乾いた音が辺りに響く。
徐々に頬が熱く熱を持ち、ヒリヒリと痛みだした。


「…ごめん」
「っ…!!」


ただ一言呟いて。
走り出した彼女はもしかしたら泣いていたかもしれない。


「トウコ!!」


彼女のあとを追うベルを見つめながら、こちらに歩み寄ってくるチェレンを一瞥する。眉根に皺を寄せ、複雑な面持ちで暫し睨まれると拳に力が入り口を開いた。


「トウヤ、お前…」
「うん、わかってるよ」


オレが悪いんだ。
そう言うとチェレンは目を見開いて、胸ぐらを掴んできた。


「じゃあ何であんな…っ!!お前だってトウコと同じ気持ちなんだろ!?」
「うん、そうだね」
「なっ…!?」


胸ぐらを掴んだ手の力が緩む。
チェレンは意味がわからないといった表情をして目を見開いてこちらを凝視した。


「Nがいなくなって、悲しいのはオレもいっしょだよ」
「…っなら「でももういいだろ?」


そうだよ、オレだって悲しい。
それはトウコだって同じだって事くらいわかってる。
だって、オレ達は双子なんだから。


「もうオレは、これ以上あいつの事を思い出して悲しんでいたくないんだ、」
「トウヤ…」
「オレだって本当はNともっと、トウコ以上にオレは…っ!!」


でもオレは、トウコみたいに素直にはなれないから。
なれなかった自分を、今はもう責める事しか出来ないんだ。
それしか出来ないんだ。


「なんで…なんであの時、『行かないで』の言葉さえ言えなかったのかなあ…っ」


もうオレには、後悔しか残ってないから。



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