小ネタというか勢いで書く唐突文。
気が向いたらたまにlogに移動。
勝手に増えます。





(アキ)←デン♀
道路では車道側を歩くのとか、買い物帰りに荷物を持ってくれるのとか。最初はラッキー、なんて思ったりもして。けどそれが段々とアキの優しさだと気付いて、ああ、これが早川アキという男か、なんて。公安の女達が「早川さんてかっこいいよね」だとか話しているのを聞いても何も思わなかったのに、そんなかっこいい男と暮らしてる自分はさぞ優遇されているんだと優越感に浸った時期もあったけど。アキはかっこいいだけじゃなく、ちゃんと優しいんだと知っているのは自分だけなのだ、と自惚れるのは自然な事なんじゃないだろうか。…なんて、まあそりゃ、初対面は散々だったけどもぉ?クソビッチだとか言われてムカついて、手前ェの搾り取ってやんよとか言い合ったのが今では懐かしい、気がする。アキと暮らして、パワーの面倒をみて、ニャーコを抱き締める。それが今の幸せだと、気付いてしまえばこれ以上望むものは何も無いんじゃないだろうかとさえ思っていた。…あとは『好きな人に抱かれたい』だなんて自分の夢を、叶えてくれる人間が現れるのかどうかだけだ。そう、思ってたんだ。

「(…ああ、だから多分おれは、アキに抱かれたかったんだ)」

地面に倒れるアキを見下ろしながら、民衆の歓声を浴びながら。涙さえ出ない自分は今はもうただ喪った人へ愛すら伝えられない愚か者だ。最愛の人、初恋だった。散々売ってきた身体を、綺麗なものなんてもう何も残っていないけれど。この気持ちだけは、この想いだけはアキのものだった。アキ、あき、ねえ、アキ。好きだったんだよ、お前の事。気付いたのが遅かった。もっと、アキと一緒にいたかった。もう叶わない夢に、嘆くのは落胆だとかそんなんじゃない。だってこの夢を叶えられるのはもう、アキだけなんだから。






























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