宮高
例えば美味い飯食った時とか、推しを目前で拝めた時とか。感動ってーの?まあそれよりもっと、顔がとけるみたいな。要はどろっどろに溶かしてやりてえの。俺の事で頭ん中いっぱいになればいいし、俺しかその眼に映さなくていいように。その澄ました顔ぐっちゃぐちゃにしてやりてえのよ、俺は。
「ん、む…ちょ、ま、っへ」
キスなんてしなれてる、けどそれ以上に甘く、深く。舌を吸う、歯列をなぞる。まるで爆ぜてしまいそうなくらいに真っ赤な顔した恋人に、興奮する。ずっと飽きねえのに、叩かれる肩も無視した末にその手はいつの間にか拳に変わってて俺の腹にめり込む。軽く、だけど結構な衝撃にうめき声が漏れる。
「い、ってえ…」 「な、っにすんすかアンタ急に…!」 「いーだろ別に」 「心臓に悪いんで!」
甘やかしたい、たまには。真っ赤な顔も全部俺のもんだってわからせたい。キスして、抱いて、どろどろの、ぐちゃぐちゃに。なんて、ああやっぱり好きだ。
「好きだよ」
だからもっと、と欲が出る。ほらやっぱ、キスだけじゃ足りねぇ。
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