小ネタというか勢いで書く唐突文。
気が向いたらたまにlogに移動。
勝手に増えます。





Nトウ
久々に。そう、久々に。懐かしい声音。聴こえた、彼の声が。そんな気がしたのはかれこれ一体何度目なんだろうか。

「N」

ああほら、また。振り返っても誰もいない、わかってるのに、それでも止められなくて。

「…え?」

少し背が伸びたかもしれない、少し、大人びたような気もする。振り返った先にはいるはずのなかった君が、得意げに笑うものだから。

「…トウヤ?」

口に出すのも懐かしい。そうだ、君の名前はこんな響きをしていたね。笑えばいいのか、泣けばいいのか。感情が追いつかないってこの事だと実感する。

「そう、トウヤ」
「え、あ…どうして」
「来ない方が良かった?」
「ちが、っそんなわけない…!」

あの頃と何も変わらない。あの頃が、まるで昨日の事のように唐突だ。トウヤが目の前にいる、それが事実である事がこんなにも嬉しいのに。

「…ほら、今日はクリスマスだからさ」
「そう、だね…?」
「はは、なんかぎこちない」
「それは、いや、君の方こそなんでそんな…っ」

気を緩めると泣いてしまいそうになる。視界が歪めば君がまたいなくなってしまうのが怖くて泣けやしない。君を待っていたんだ、ずっと。君だけを待ち続けたんだ。

「…っそんな簡単に、普通になれるわけ…ないじゃないか」

思わず掴んだ肩は予想以上に細くて。よくよく見れば以前より幾分も痩せた彼に青ざめる。この手を離したらもう永遠に会えないような気がするのはどうしてだろう。ねえトウヤ、どうして。そればかりが脳を駆け巡った。

「…大丈夫だよ…もう、どこにも行かないから」

ああ神様、どうか彼を彼方へ連れてはいかないで。抱き締めた身体、背中に回る手。降り積もる雪に、彼の幸せだけを願った。






























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