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「あちぃ…」
「じゃあ離れなよ、私も暑いし」
「それは嫌だ」


私の言葉を否定して背中から抱きついてくるシズちゃんは、暑い暑いと言いながら汗でべたべたした身体を押し付けてくるので鬱陶しい。


「シズちゃん汗気持ち悪い」
「あ?じゃあシャワー浴びるか」


そう言って立ち上がったシズちゃんは、私を抱えたままで離す様子が全くない。


「…あれ?」
「あ?」
「シャワー浴びるんだよね?」
「おう」
「誰が?」


嫌な予感がして、少しの抵抗で腕を引き剥がそうと試みる。無駄だったけど。


「水道代が勿体無ぇからな、手前が浴びるなら俺も浴びる」
「え、じゃあ私いいからシズちゃんだけ浴びなよ」
「駄目だ」


ニヤリと笑うシズちゃんは、やっぱり私の身体を離そうとはしない。あろうことか、そのまま風呂場まで連れて行かれてしまった。


「ちょっと、昼間っから大の大人が二人で狭い風呂場に入るとか一体何する気!?」
「だってよ…手前の匂い嗅いでたらなんかムラムラした」
「勝手に人の匂いを嗅ぐな!!」


ぎゃあぎゃあ言ってたら、うるせぇと言われて服を着たまま水をかけられた。いきなりの冷たさに、ビクリと身体が跳ねて床に座り込む。


「冷た…っ」


しかもびしょ濡れになって、服が身体に張り付いて気持ち悪い。


「…最悪」
「臨也」
「何!!あーもうびしょびしょ…」
「その格好、えろい」
「は?」


いきなり何を言い出すのかと思いきや。そして気づく、びしょ濡れということは服が透けるというわけで。


「きゃ…っ」
「隠すな、見えねぇ」
「見るな変態!!」


どうやらシズちゃんは暑さで頭がおかしくなってしまったらしい。いつも以上に行動が読めない。寧ろ不可解だ。


「ていうかびしょ濡れになったら帰れないんだけど」
「泊まれば問題無ぇだろ」
「今のシズちゃんと一夜を同じ屋根の下で過ごすのは危険な感じがするんだよね」
「大丈夫だ」


シズちゃんはそう言いながら屈んで、私の耳元に唇を寄せて囁く。大丈夫って、何がどう大丈夫なんだか。


「…手前が二度と帰れねぇように、足腰立たなくしてやっから」
「…それって監禁?」
「違ぇよ馬鹿」


水道の蛇口を止めてシャワーを置くと、シズちゃんは私の身体を抱き寄せた。濡れた身体の水滴が、シズちゃんの服に染み込んでいく。


「帰したくねぇんだよ、ずっとここにいろ」
「…告白?」
「俺と結婚してください」
「なんだプロポーズか」


言って直ぐに私の肩口に顔を埋めるシズちゃん。そんなシズちゃんの直球すぎるいきなりのプロポーズに笑いながら、どうやら私も暑さで頭がおかしくなってしまったようだ。


「シズちゃん」
「…ん」
「一緒にシャワー浴びよっか」
「…おう」


とりあえずまずは、シャワーを浴びる事にしよう。







とある暑い日


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