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「カイト君を見ていると…なんかこう、いけない事をしたくなるよね」
「……はい?」


軸川先輩がそう言ってニコニコしながらオレを見る。言っている意味がわからなくて、首を傾げた。


「そういう動作も、」
「…動作?」
「すごく…可愛いね」


可愛い、て。言われて無意識に顔が熱くなった。


「ふふ、可愛い」
「せ、せんぱ…っ」
「×××に×××したくなるよ」


………ん?


「…え?」
「だからね、×××に「駄目ッス」


軸川先輩の言ってる意味がわからなくて混乱していると、隣に座っていたギャモンが軸川先輩とオレの前に割って入ってくる。軸川先輩に身構えて、オレを庇うみたいに。目前にはギャモンのでかい背中。


「いくら軸川先輩でも、それ以上は駄目ッス」
「…君は、先輩に逆らうのかい?」
「う…っ」


笑顔なのが逆に恐い軸川先輩と、怯むギャモン。こいつが先輩に逆らうなんて珍しい。そんなに大事なのか?


「ギャモン君」
「…っ駄目、ッス」


ギャモンが先輩に逆らう方を選んだ直後、奴はくるりと振り向き、オレの身体に腕を回して抱きしめた。
…………え?


「こ、こいつは、お、俺のなんで…っ!!」


なんか必死なのが面白い。だけど意味がわからない。何言ってんだこいつ。


「だ、誰がいつお前のもんになったんだよ!!」
「うるせえ!!いいからお前は黙ってやがれ!!」


ぎゃーぎゃー言い合うオレとギャモンと、それを見つめる軸川先輩。


「…全く、君達は本当に面白いなあ」


言い争う中、そんな声が聞こえた気がした。





冗談に聞こえません





「(カイト君もそうだけど、ギャモン君も結構…なんてね)」


そんな軸川先輩の恐ろしい心の呟きを、オレたちが知るよしもなかった。


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