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「幼馴染みの特権て何だと思う?」


とある昼下がり。久々にマサラに帰ってきたレッドはリビングの椅子に座ってふとそんな事を言った。しかしここは俺の家。家に帰らず真っ先にここに来るなんて、とんだ親不孝者である。


「特権?」


幼馴染みの特権てのは、あれか。俺がこいつと幼馴染みであるからこその特権みたいな。
…山ほどあるんだが。


「何だと思う?」
「伝説のポケモントレーナーとただならぬ関係になれるとか?」
「…それグリーンだけでしょ」


あれ、違うのか。じゃあ特権てどういう特権なんだ?


「そうじゃなくて、ほら。幼馴染みだからこその特権みたいな」
「嗚呼、全国共通の幼馴染みに対しての特権て事か」
「そんな感じ」


そういう特権ていう事なら…あれじゃないのか。


「幼馴染みって、何か他の奴より特別な感じするだろ?」
「うん」
「だから、どんなに告白されても最終的にはやっぱり幼馴染みが一番しっくりくるっていうか安心するっていうか」
「…要するに?」
「幼馴染みは最終的にくっつくって事」


それがイケメンだったら尚更得だよな、と笑う俺とは逆にレッドは表情ひとつ変えない。…何か不満なのだろうか。


「グリーンてさ」
「うん?」
「イケメンだったの」
「え」


イケメンだろ。そう言ったら鼻で笑われた、酷い。


「てかお前も十分イケメンだろ」
「グリーンさんには負けますわー」


そして若干馬鹿にされてる。だってほら、目笑ってないし。


「…ま、それじゃあ幼馴染みの特権とやらを使って自称イケメン同士イチャイチャしましょうか」
「自称かよ」


そう言って笑いながらリビングのテーブル越しにキスをする。結局ほら、幼馴染みの特権てのはそいつとただならぬ関係になれるって事だ、うん。


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