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手には壊れた携帯。足元には砕けたサングラス。嗚呼またか、とため息を溢して煙草をくわえた。一息吸って、地面に落とす。ぐしゃりと踏み消して、遠くから歩いて来るそいつを睨んだ。


「…臨也、」


メキリ、と壊れた携帯が軋む。馬鹿なノミ蟲は俺の存在に気付いていない。


「…うぜぇ」


近づいて来るノミ蟲と、睨み付ける俺。襲いかからないのは、今日がそんな気分じゃないからだ。
近くにいるとムシャクシャする。だから握った携帯もサングラスも、そのまま握り潰すんだ。きりがない。


「…また買い換えねぇと」


舌打ちをして、踵を返す。あいつに気づかれる前に、ここから立ち去りたかった。


「面倒臭ぇ」


緩む頬とは真逆に。
俺の心はムシャクシャしたままで。





それを恋というにはまだ





(気づかれてたまるか)


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