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「シゲル」


名前を呼ばれて、夢から覚める。寝ぼけた視界でうっすらと見えたのは、こちらを覗き込む、長い黒髪の少女で。


「おはよう」


そう言って僕の頭を撫でる少女は、僕の見に覚えのない少女なわけで。こんな親戚いたっけな?なんて思い始めた頃、ようやく意識が覚醒した。


「…サトシ?」


嗚呼そうだ、彼女は僕の幼馴染みであり想い人。彼女がわからないなんて幼馴染み失格だ…だが、彼女はこんなに髪は長くなかったはず。


「…ウィッグ?」
「うん」


髪に触れた感触に違和感を感じていたら、案の定ウィッグだった。長髪も似合う、だけど。これが彼女の髪であったら…なんて考えてしまう。


「…伸ばしたら?」
「動きにくい」


バトルが生き甲斐の彼女には長髪は邪魔のようだ。髪は女の命、という言葉もあると言うのに…。


「…似合うと思うけどな」


呟いて、ウィッグを外す。現れたのは、見慣れた彼女の短髪姿。…嗚呼、やっぱりこっちの方がいいかもしれない。


「伸ばしてほしい?」
「…いや、今のままでいいよ」


要するにだ。
僕は結局、ありのままの彼女が好きって事。


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