log ←new old↓ キスされるのと抱き締められるのと。どっちが好きかと言われたら、どちらかというと抱き締められる方が好き。かといってキスが嫌いなわけでもないけれど。あえて言うなら、ってなだけで。 「なあ、お前はどっち?」 「あ?何がだ」 「キスと抱き締めるの、どっちが好き?」 ちょうど目の前にいたギャモンはナンプレ作成の真っ最中で。オレがどっちが好きかを聞いた途端、持っていたペンを机に落として間抜けな顔で顔を上げた。 「ななななな何言ってやがんだ急に!!?」 動揺するギャモン。なんでそんなに動揺してんだ?って首を傾げると、聞こえる深いため息。 「カイト…お前何企んでやがんだ?」 「いや、答えてくれたら好きな方やらしてあげようかなって」 再び目を見開いて、今度は動揺しないで驚いた表情。無理はない、オレ達は恋人同士でもなければ付き合ってすらいないんだから。 「…カイト」 名前を呼ばれて、腕を掴んで引き寄せられる。それから肩に手を置いて、まだ答えてないだろ、って言う前に。額に、キスをされた。 「…お前ってさ」 「あ?不満なのかよ」 「残酷」 知ってるか、額って友情のキスなんだよ。そう呟いて、泣きそうになるのを必死に堪える。苦笑するけれど、上手くも笑えない。 「やっぱお前、馬鹿だな」 ギャモンはそう言って、オレの身体を抱き締めた。オレはギャモンの肩口に顔を埋めて、背中に腕を回して抱きつく。嗚呼、胸が痛い。 「…結局、どっちもするんじゃん」 「いや、まだ一つしかしてねぇ」 頭を撫でられて、上を見上げる。目が合って、カイト、って名前を呼ばれて、重ねられた唇に目を見開いて。 「…バーカ」 唇を離して呟いて、それから涙が一筋流れた。 ×
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