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「血出てますよ、オニーサン」


そう言って自分の右頬を指で指すグリーン。人差し指で、試しに自分のそこに触れてみる。案の定、指には血がついていた。しかも結構たくさん。


「草で切ったのかね」
「草は草でも、葉っぱカッターだと思う…」


さっきバトルしたばっかだしね。するとグリーンは血相を変えてオレを凝視した。


「葉っぱカッターってお前…へたしたら死ぬぞ」
「今回はちょっとドジったんだよ」


むしろ怪我に気づかなかったんだけど…最近痛感が鈍った気がする。というか痛みに鈍感になるって事は、それくらいバトルに集中してるって事かな。


「レッド」


グリーンが名前を呼んで、眉間に皺を寄せながら見つめてくる。それは睨んでるんじゃなくて、悲しそうな、苦しそうな表情。


「…自分を、見失うな」


見失ってからじゃもう遅い。命さえも落としかねない、って事かな。オレはただバトルを純粋に、勝つことだけを考えているから。バトル以上に楽しいものはない。オレにとって、バトルは人生そのもの。けれど最近楽しめないんだ、どうしてだろう。


「…わかってるよ」


きっとそれは、オレより強い相手が現れないから。もうオレは、勝つだけじゃ物足りない。互角の勝負をしないと、心が満たされないんだ。だからもし、オレと互角に戦えるそんな相手が現れたとしたら…グリーン。オレはきっと、君が言った言葉を守れないかもしれないよ。


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