欠乏色


眠る夢を見る。可笑しな話だ。けれども僕は確かに、眠る夢を見ていた。見続けていた、が正しいかもしれない。覚め止まぬ夢を。褪めぬ景色の色彩を。願って見た夢だったのかもしれない。指先が辿るのは熱だ。同時に、輪郭の曖昧な何かをなぞっているようにも思える。鮮やかな景色は、極色は、僕の開ききった瞳孔で捉えるにはいささか刺激的過ぎていたものだから、僕は判別しきれていないのである。
眠る夢を見ている。夢の中の僕は眠っていて、昏々、眠り続けている。覚める時間だと誰かが言い、夢の中の僕は目覚め、ふわりと欠伸をした。そんな夢だ。
夢を見る。だからはやく揺り起こして。僕をこの、鮮やかなだけの夢から引き剥がして、馬鹿みたいに冷たくて薄っぺらな現実に詰め込んでくれないか。



モドル  
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