刹那、鬼が見えた。その男の後ろに、瞳を赤に染めた鬼が。

いや違う、今思えばあの男が鬼そのものだったのかもしれない。人間ではない、別のものだったのかもしれない。

「……俺と来い。行くところがないならな」



崩れていく。

「死ぬ覚悟はできてんだろうな」

自分の信じていたものが、全て崩れ去っていく。紡いで紡いで、もがき、足掻く。何年もかけてやっと手に入れた幸せを、たった数分で壊された。

許さない、憎い、殺してやりたい、この手で、絶対に。

覚悟はできている。あの男を炙り出すためなら、龍にも虎にも、鬼にもなると。強い意志を宿した瞳に、揺らぎはない。血に飢えた狂犬集団……その全てを受け入れると誓った。



全ては、ここから始まる……。



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