*御幸が色々と気になってる話 (御幸一也)
こういうコトは何度しようといつまで経っても慣れないもので、つーか慣れるものなのかとすら思う。でもまあ俺だって男だから、好きな人から求められたらそれ以上で答えたくなるし、自分から彼女を求めたくなることだって正直ある。
かずくんって俺の名前を呼んで、愛おしそうに俺のことを見つめては抱きしめてきて。そんなことされると我慢が出来なくなるのもしばしばで。
それでもいつも頭の片隅には“これでいいのか”とか“俺でいいのか”とか、そういうことがいつだってちらついているのだからどうにも情けない。
「お前さ、俺でホントにいいわけ?」
終わってからの二人で何をするでもなくダラける時間。動くでもなく寝るでもなく喋りたい時に喋る、そんな時間。
そんな時、別に他意も深い意味も何もなくただ純粋にそう思っただけ。だからふと疑問を口にした。
だって俺はお前しか知らねぇけど、お前は俺以外も知ってるんだろ、とかそんなことは言わねぇけど。
さっきもこれでいいのか、お前を気持ちよくさせてやれてんのか、そういえば服はいつ脱ぐもんなんだ?って思ったんです、なんて。
そんなことを考えながら横目で彼女を見ると、驚いたのか目をまんまるにしていた彼女が、ふふっと笑い出した。
「……なんだよ」
「別に。かずくんもそういうこと気にするんだと思って」
枕を抱きかかえながら俺を見上げる彼女はどうにも楽しそうで。
その視線になんだか小っ恥ずかしくなって顔を逸らすと、彼女がいた右側から体温が伝わってくる。眉間に皺が寄っているだろうことを自分で感じつつそちらを見ると、彼女が俺の腕に抱きついていた。
「かずくんがいいんだけどな」
「知ってる」
じゃあなんで聞くのとお前は思ったかもしれないけれど、まあそんなことが気になる時が男にだってあるもんなんです、とか。
彼女の唇にキスを一つ落としてみたら、さっきまでもっとすごいことをしていたはずなのに、普通のキスが何故だかものすごく擽ったかった。
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