※若干暴力・血の表現有り
※ヤンデレ?


























endless pathetic lyric



細い首筋に舌を這わせると、びくりと肩が跳ねた。薄い唇から言葉にならない呻き声が漏れる。やめろ、とでも言っているのだろうが、聞こえるのは苦しげな音ばかりで、言語らしい音は聞こえない。
それをいいことに這わせていた舌先を、先程歯を立てて作った皮膚の裂け目に捻こむ。そのまま傷口を抉るように舌を侵食させると、音が更なる拒絶の色を含んで大きく鳴いた。

「―メ…っろ!!」
「ん?」

ようやく口にできたらしい言語に顔をあげる。痛みで滲んだ大きな瞳がこちらをギ、と睨んでいた。
苦痛に歪む端正な顔が綺麗で、乃亜は静かに微笑を浮かべる。

「なに…?遊戯」
「…ッ」

耳元に唇を寄せて問えば、痛みで感覚の鋭くなった彼が逃げるように身を捩る。華奢な両手足を捕らえる鎖の枷が擦れ合い、冷たい音を立てた。
それでも睨上げてくる視線が、遊戯の意図を読み取ってなお知らないふりをする乃亜を責め立てる。
その双眸が屈辱と憤りに燃え立つのが分かった。
クスリ、と喉の奥で笑みが漏れる。

「どうしたの遊戯…?ちゃんと言ってくれなきゃ分からないよ」
「っ」

わざと吐息がかかるように囁いて耳の輪郭を舐めあげると、再び自分より大きな、けれど小さい身体がビクつく。堅く結んだ口元が微かに震えていた。その端から流れ落ちる紅が、小さな唇を濡らす。それが妙に艶めかしくて、乃亜は彼の色白い頬に手を掛けた。

意地が悪いことを言っているのは分かっている。喋れないなんて当たり前だ。
彼をそうさせたのは、他の誰でもない乃亜自身なのだから。

取り上げて、彼に見えないよう電子空間の狭間に隠したパズルばかりを気にする彼が不愉快で、
ずっと半身ばかりを呼ぶ彼が面白くなくて、
それならいっそ言葉を奪ってしまおうと。
だから、首筋と一緒に舌を思い切り咬んでやった。言語の伝達機能の根源を途絶えさせた。
動脈を切ったわけでわないけれど、さっきから血が止まらないらしい。魅せる紅がその証拠だ。

唇を潤す血液を舐めとると、体の底から笑いが込み上げてくる。
彼の、味だ。

「フフフっ…ねぇ遊戯、」

口元に浮かべるのは子供のそれ。瞳に宿すのは狂喜の。
淀んだ彼の紅い瞳が憎悪と憤りに鈍く煌めいた。
その濁った紅玉が、綺麗。
そしてそれに映し出されているのは、

「フフっ、そうだよ遊戯。遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯遊戯、」

クスクスと笑いながら両手で頬を包み込み、勢い良く口付ける。まるであどけなく無邪気な幼子のように。
そのまま何度かそこを舐め、角度を変えて食むと、気が済んだのか漸く乃亜が身を引きはじめた。しかしそのモーションを、まだ互いの息がかかる程度の距離で制止させる。
確かめるように覗き込んだ紅に反射する景色は、やはり同じ色で。
乃亜はまた、目を細めて微笑った。


「フフ、アイシテルよ、遊戯?」




(その汚れた眸の中に存在するのは、僕だけだった)



-Fin-



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タイトル和約は「終わり亡き空虚詩」とか、なんかそんなんにしたかったんだと思い…ます。(←※英語苦手)



執筆(08/09/27)
修正(10/04/10)








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