可愛い顔に似合う短いスカートは校則違反だ


「天宮…その丈は違反だ」
「ギリギリだもん」

このやり取りも、もう十数回目だろう
スカートが短いだけではない。冬になってから追加された校則違反がある

「そのカーディガンも規定の物ではないようだが?それに寒いならスカートの丈を長くしろ」
「やだ。可愛くない。カーディガンもこっちの方が暖かいし可愛いわ。それに風邪引いたら困るでしょ?」
「インナーを増やせばいいんじゃないか?お前は細いから数枚増やしても変わらないだろう」
「もう4枚着てる」

ちらっとカーディガンと制服を捲ってヒートテックを見せれば、生徒会長は顔色一つ変えずに顔を背けた
この程度で顔を背けるとか、やっぱり硬派なのね

「…運動をすれば体は温まる。」
「やだ。汗はかきたくない」
「……」
「生徒会長の権力で教室にエアコン取り付けてよー」
「それは無理だ」
「けちー」
「天宮さん、うちの部長を困らせないでくれないかな?」
「不二くん…」
「こう見えてナイーブなんだ」

私の頭にぽんっと手を乗せるのは同じクラスで隣の席の、天才不二周助くん
このやろう…生徒会長の味方なのか…

「裏切り者、このカーディガン可愛いって言ってくれたじゃない」
「僕の言葉覚えてたんだ」
「嬉しかったもん」
「そう…僕もそう言ってもらえると嬉しいなぁ」
「へへ…」

当たり障りのない会話
不二くんはそのまま私の頭を優しく撫でてくれた

「不二…」
「なんだい手塚?」
「まだ話の途中だ」
「…そっか、それは悪い事をしたね。じゃあね天宮さん」
「え、行っちゃうの…?私も行く」
「天宮、まだ話し中だ」
「うっ…」

がしっ。と生徒会長に腕を掴まれる
不二くんはもう行ってしまった
ムスッとした表情の生徒会長は直視出来ない
格好いいとかじゃなくて、怖くて直視出来ない

「ごめんなさい。次からは極力指定のにする」
「スカート丈は?」
「ギリギリだもん」
「……校則違反はダメだ」
「はい…」
「……」

天宮は動物に例えると犬だな
シュンとして反省しているのが一発でわかる
正直、可愛いと思うしこのまま彼女の好きにさせたいと思うから放っておきたいが、他の奴にこの姿は見せたくないんだ

俺の彼女ではないのに何故かそう思う
その事を素直に彼女に伝えれば

「生徒会長は私の事すきなんだね」

と、眩しいくらいにキラキラした笑顔で言われ、心臓がびっくりし跳ねたような感覚がした









「じゃあ今日から私生徒会長の彼女だから、多目に見てください。国光くん」
「それはできない」
「あなたの為に可愛い私でいたいの」
「……そうか…でもだめだ」
「けちー!」



end.