「……」
「………」
「……」
「…アゲハ、いい加減離れて」
「やだ」
「どうして?そんなところに座り込んで体冷えるよ」
「…レグルスがあったかいからいいの」
「……ふぅ…」

どうしたものか…
さっきからずっと椅子に座る僕の足の間に座って僕の腰に手を回し抱き着いている僕の彼女
何度言ってもどいてくれない彼女の強情さにはため息しか出ない
こっちとしては理性が消えそうだから、そんな足の間になんていないでほしい
今は誰もいないからいいものの、誰か来たらこの体制は変な誤解を招くだろう

「アゲハー…なんでそこなの?」
「ここからだと本に夢中なレグルスくんの顔を真下から見れるんです」
「……」
「うぁっ…!」

読み掛けの本に栞を挟み、パコッと彼女の頭にぶつけてみた

「大丈夫…?」
「そう言うならやんないでよ…」
「……」
「…もしかして照れてる?」
「そうだよ」
「レグルスくんかわいー」
「…やめてよ」
「うぅ!!」

ぶにぶにと膝で彼女の頬を挟む
抵抗とばかりに僕の腰から手を離し、必死に自分の顔から離そうとしてる

「……」
「やーだー」

グリグリやりすぎて少し摩擦で赤くなってるのに気付いて足を離した

「痛かった」
「ごめんね」
「…困ったように笑うレグルスくんのレア顔ゲット」
「…よかったね…ところで、レア顔も真下から見れたのになんでアゲハはまだそこにいるの?」
「…レグ大好きだからずっとぎゅってしていたいの」
「じゃあそんなところじゃなくてこっちにおいで」

彼女の腕の下に手を回し立ち上がらせ向かい合う形で座らせる

「わっ…レ、レギュ私足開いててはしたないよ!」
「じゃあこうしよう」

彼女を横に抱き直し、体を密着させる

「…近すぎ…」
「いいじゃん」
「……レギュまつげ長いね」
「アゲハ程じゃないよ…そんな見つめられたらキスしたくなる」
「ダメ!恥ずかしい…」

ぎゅっとシワになるくらい強く僕のローブを掴み、肩に顔を埋める
耳が真っ赤なところを見ると、本気で恥ずかしいらしい

「…じゃあこっちで我慢するよ」
「んっ…もうちょっとで消灯時間だよ」
「まだ大丈夫、ギリギリまでこうしてよう」
「……いいよ」

彼女の顔を上げ、まふだにキスし、髪を撫でる
彼女は一度俯いたが、直ぐに僕の肩に顎を乗せ、ぎこちなく背中に腕を回した
僕も彼女を包み込むように腕を回し、読んでいた本を開く

冷えすぎた彼女の体に、彼女の言動で熱くなってる僕の体
お互いの体温がちょうど気持ちいい



ずっと、彼女を抱きしめていたい



改めてそう思った寒い冬の図書館での話。





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