レグルスのローブが入った紙袋片手にスリザリンの寮の前に立ってから10分経った

「あ、あの…レグルス・ブラック呼んできてもらえませんか?」
「あー、ブラック?いいよ、ちょっと待ってて」
「ありがとうございます」

やっと通りかかったスリザリン生に勇気を出して声を掛けると、そのスリザリン生はアゲハをじっと見つめてから快く引き受けてくれた

「…いい人だったなぁ…なんであの人スリザリン生なんだろ」

人懐っこそうで、優しそうだった
普通のスリザリン生ならアゲハのネクタイの色で悪態を付くのに、彼が笑顔で対応してくれた事に、アゲハはホッとした気持ちと嬉しい気持ちではにかむ

「(組み分け帽子が間違えたんだなぁ…私はなんか組み分け帽子に笑われたけど)」

そんな事を思いながら誰もいなくなった静かな廊下で、レグルスが来るのを待っていた

あの彼が入ってから全く開く気配のないスリザリンの扉
アゲハは待ちくたびれて向かいの壁に寄りかかり、疲れた足を休まさせるように座って待つことにした

「……遅い…」

もう待ちくたびれて帰ろうと立ち上がった時、ガチャッと扉が開かれた

「アゲハ!」
「…レグルス…」
「待たせてごめん、寒かったでしょ?」
「ううん、大丈夫」

ゆっくり顔を上げると乱れた制服姿のレグルスが息を荒げて駆け寄ってきたのが目に映った
レグルスの手を借りて立ち上がると、アゲハはレグルスの顔を見つめる

「…どうしたの?」
「随分息上がってるなぁって思って…そんなに早く私に会いたかった?」
「…会いたかったよ」
「(…衝撃発言!)…はい、これ…借りてたローブ」
「あ、うん」

レグルスの衝撃発言をどう対応していいか分からずローブを手渡したが、それでもう用が無くなってしまった

だけど、まだここを離れたくない。その思いがレグルスに伝わったのか、レグルスはアゲハの手を優しく掴んだ

「レグルス…」
「ん?」
「…なんか、変なの…まだこういうの馴れてないのかな?ドキドキする」
「そうなの?じゃあ馴れるまでずっとこうしてようか?」
「…心臓が持たない」
「ふっ…そっか、じゃあ今日はこれだけで我慢するよ」

そう言うと、レグルスはアゲハを抱き寄せて額と頬にキスをした

「え…あ、レグッ…」
「んー?」
「寮の、前なのに…」
「だからだよ」
「っ…」
「…アゲハ?」
「な…なんでも、ない」



『寮の前なのに』
『だからだよ』

出来るだけ仲良しな所を見せ付ける
最近は人目が付かない所でも側にいて、抱き合ったりキスしたりしていたから、本当の恋人みたいに思っていたのかもしれない

見せ付けないと一緒にいても意味がない
心臓に電気が通ったかのように、ビリビリと痛くて感覚が麻痺してしまうような感じがした

「明日、スリザリンとレイブンクローのクディッチの試合見にくるよね?」
「うん…行くよ」
「良かった…僕シーカーやるんだ。絶対勝つから応援してね」
「うん」







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