スリザリン生に絡まれて以来
レグルスはアゲハの側からあまり離れなくなった

朝は決まった時間に寮まで迎えに来て、寮に戻る時もちゃんと入口まで見送り、扉がちゃんと閉まるまでそこにいる


その事に、アゲハはちょっと頭を抱えていた

「…レグルス、最近ちょっと過保護じゃない?」
「……どこが?」

首を傾げ、真剣に聞いてくるレグルスから少し視線をずらし、言ってみる

「どこがって…いろいろと…」
「そう、じゃあ今日1日離れてる?」
「…えっ!そ、それはやだ」
「クスッ…離れたくないほど僕が好きってこと?」

シリウスのようにニヤリと怪しげな笑みを浮かべる
兄弟なだけあって笑った顔がそっくりで、顔を合わせにくくなる

レグルスの怪しげな笑みは、アゲハが自分を好きだと確信しての笑みなのか、それとも、ただからかっているのか
アゲハは顔を赤らめながらもその答えを仄めかした

「ゔっ……どーだろ…」
「…僕は好きだよ。アゲハの事、あんな事があったし、アゲハが可愛いから心配なんだ。だから傍にいたい」
「……」
「1日も、離れるつもりはないよ」
「…ありがとう、じゃあ…傍にいて」
「うん」

人目に付きにくい図書館の奥
幸せそうに、だけど照れくさそうに寄り添う
レグルスは、照れて頬を赤らめるアゲハへの愛しさが高ぶり、自分の肩に頭を乗せるアゲハに無意識にキスをした

「……」
「……」
「…え、あ…いま」
「っ…ご、めっ…」

自分がした事の重大さに気付き、思わず声が裏返る
レグルスの頬は、アゲハ以上に赤くなっていた

「…ううん、その…びっくりしただけだし…」
「……ごめん…」
「いいよ!こいびと…なんだから、謝らないで…」
「…うん」
「(…恋人だし、別にファーストキスじゃないし、3ヶ月も一緒にいるんだから、つり橋効果みたいなものよね!)」

ほっとした表情を浮かべるレグルスに対し、アゲハは内心結構テンパっていた


つり橋効果。と一度は思ってみたものの、そうじゃないといいな、と少し冷静を取り戻した頭で考えてみた



あれから無言のまま数十分経ったけど、2人の間を通る空気は気まずい空気ではなく、初々しいけど穏やかな優しい空気が流れる
これがすごく心地良く思えた


「「(ずっと、こうしていたいな…)」」


お互い好きあってる者同士なら、こんな事を思うのは当たり前の事だろうか…

ふと、レグルスは思った


「(僕が誰かと一緒にいたいと思う時が来るなんて…まさか、自分は本気でアゲハの事、好きなのかな……いや、これは只の庇護欲だ。自分のせいとは言え、アゲハを危険な目に遭わせたんだし…不安そうな顔されると、意地悪してから慰めたくなるし…だから庇護欲だ)」

一方、アゲハも似たような事を思っていた

「(どうしてだろう…私、最近レグルスといると嬉しい…そして、ちょっとドキドキし過ぎて心臓が苦しくなる。すき…なのかな?つり橋効果だとしても、紳士な所もあるし、オルゴールだってケースに入れてくれてたし…助けてくれたし……私やっぱ最近変だよ、今日、ミツに手紙書いて相談しようかな…)」



「「……ねぇレグルス(アゲハ)…」」

「あ、先に言って」
「え、アゲハが先に言ってよ」
「……あのさ、こういう時間、いいよね…」
「もしかして、僕とこうしていたいって思った?」

微笑むアゲハが可愛く、つい意地悪な事を言ってしまう
そして、その反応が可愛くてまた意地悪したくなった

「え!!いや、まぁ…ね、少しは思った」
「…そう、じゃあ…もう一回、キスしてみる?」
「っ…!!」
「ほら、目、とじて」

アゲハの顔を両手で包み、耳元で囁く

「んっ…レグッ…」

素直に目を閉じて、レグルスの唇が触れるまでじっとしている

レグルスはそんなアゲハを見つめ、唇が触れるか触れないかギリギリの所で寸止めした

「…いつまで目閉じてるの?まさか、本気ですると思った?」
「べっ、別に!ただ目閉じろって言われたから」
「…黙って」

顔を真っ赤にし、レグルスの手を顔から離そうとしたら、ぷちゅ、っと唇が触れた

「レグ…んふっ、なにふんんっ!」
「ちょっ、だまっん゙!!」

ゴッ…!!

急に触れた唇にびっくりし、暴れたアゲハのせいでお互いの歯が唇にぶつかってしまった

「いったい…」
「っ…アゲハが急に喋り出したから、唇切れちゃいましたよ」
「…私のせいじゃないもん…」
「ほら、アゲハも唇切れてる」

レグルスが切れたアゲハの唇をぺろっと、舐め、止血する

「アゲハも、ほら、僕の舐めて」
「や、やだよ」
「僕は舐めたのに?」
「…勝手にしたくせに…ずるい…」

それでも恐る恐る、顔を近付け、レグルスの唇を赤い小さな舌でチロッ、と舐めた

「よくできました」
「…ん…」




恥ずかしそうに俯き、口ごもるアゲハを見て、レグルスは小さく笑った

ファーストキスがこういう思い出でもいいと思った昼下がりのこと





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