アゲハがスリザリンの上級生に絡まれる少し前、シリウスとジェームズは空き時間だったため、新しい悪戯を考えるべく城内から森を探索していた



「……恋人同士というより主とペットね…」

静かな森の中で聞こえる甲高い声に、複数の笑い声が2人の耳に届く
こんな所で虐めか?と思うと、にやりと顔を見合わせ、面白半分で覗いてみる事にした

フードの色で虐めている女子生徒達はスリザリン生と判明したが、虐められている少女は長いブロンドウェーブの小柄な子みたいだ
取り囲まれていて顔まで見えないのが惜しい…

「「(透明マント持ってくればよかったな…)」」

声を押し殺して近付こうとしたが、結局近付く事が出来ず、死角になっている木の影から様子を伺う事にした

「黙りなさい!エクスペリアームス!」
「きゃっ…!」

聞き慣れたか細い声に、杖が弾かれる音

虐められている相手が誰だかわかった瞬間、2人は顔を見合わせ助けに行こうとした

「…兄さん?何してるんですか?」
「っ、レグルス!」

ちょうど戻ってきたレグルスは、木の陰でコソコソしているシリウス達を見つけ、嫌な予感がし、話し掛けたのだった

「またサボっているんですか?」
「今アゲハが…!!」
「アゲハ?あ、アゲハに悪戯しようとしているんですか?やめて下さいよ」
「だからそうじゃなくて…」

シリウスはどうやったら伝わるのか考えようとしたが、ジェームズが説明するより見せた方が早いと、レグルスの腕を掴み女子生徒に囲まれているアゲハを見せた

「…なんでもっと早く言わなかったんです?」
「おまえが遮ったんだろ!」
「ほっといても彼女は平気ですよ」
「…それはアイツがどうなってもいいって事か?」

シリウスのレグルスを見る目がキツくなる

「殺すような真似はしないでしょうしね…」
「てめっ…!!」
「シリウス!!」

レグルスの胸倉につかみ掛かかったシリウスを、ジェームズが引き離そうとした時、あまりよく聞こえなかったアゲハの声が響いた

「ブラック家に相応しくなくても、レギュラスに相応しく釣り合うようなレディになるよう努力はしますわ!」

「「……」」

一瞬にしてその場が静まり返る

シリウス達も唖然として思わず言葉が出なくなった
レグルスは胸倉にあるシリウスの手を振り払い、アゲハ達の方へ歩きだす

「レグルス…」
「シリウス、静かに」



「…先輩、僕の彼女に何をしているんですか?」

レグルスがアゲハの手を掴んで引き寄せると、それに怒った女子生徒が捨て台詞を吐いて城に戻っていく

それを見ていたジェームズがニヤリと笑みを浮かべ、シリウスに提案した


「レディに手をあげるのは気が引けるが…仕方ない」
「灸を据えるくらいにしとくか」

杖をローブの内ポケットにしまい、その代わりにマグルの店で買った悪戯グッズを彼女達にお見舞いしてやった



それから数十分…


「…オイ、お前ら」
「「…っ!!」」

「べ、別に何もっしてナいよ!」
「…まだ何か用ですか?」

「……ぷっ」

声が裏返え、顔を真っ赤に染めるアゲハと、同じく顔を赤くしながら照れくさいのか、冷たい態度を取るレグルスが面白くて吹き出してしまった


ただ抱き合っている所を見られたくらいで、こんなに照れるなんて、まだまだ可愛いなぁと思ったレグルスだった





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