次の日の朝食の時間、アゲハとレグルスは、スリザリン席の隅っこにくっついて座る
ハッフルパフとスリザリンという考えられない組み合わせに、周りの人間も、先生達も2人を凝視し、ざわついていた
だが数分経ち、周りの人間は呆れたように言葉が出なくなった

「偏食アゲハ」
「チキンレグルス」

お互いの皿の中を見て言い合う

「お肉食べないと力でないよ」
「野菜食べないと血管詰まるわよ」

2人はお互いの言葉にカチンときた

「…ちゃんと野菜も食べてるから、アゲハはお肉食べなさい」
「野菜食べるって、8対2の割合じゃない…」
「食べないよりはいいでしょ。ほら、お肉食べて」
「朝にお肉は食べない事にしてるの。胃がもたれちゃう…第一私朝はそんな食べないタイプなの」
「でももっとたくさん食べなきゃ力でないでしょ?お肉が嫌ならせめてクロワッサンもう1つ食べなよ」
「平気よ。倒れた事なんてないもの」

そう言い切り、サラダをフォークで刺して美味しそうに口へと運ぶ
小皿に盛り付けられサラダの横の小皿には、クロワッサンが一個乗ってる

自分が普段摂取する食事の半分の量だと思いながら、レグルスはチキンを頬張った

「レグ、ドレッシング取って」
「はい」
「ありがとう」

ドレッシングを受け取った手は、細くて小さい
そういえばアゲハの背丈は同年代とあまり変わらないけど、体つきは華奢な方だ
だから小食なのかな、と思った

「そういえば今日ね、変身術の授業で動物をゴブレットに変えるのをやるのよ」
「ああ、ハッフルパフとレイブンクローは今日やるんだね。簡単そうで難しかったよ」
「え…!!そうなの?楽しみにしてたのに、なんかやだなぁ…失敗して減点されたらどうしよう…」

眉を下げ、口をへの字に曲げる
捨てられている犬のように切ない顔をするアゲハを見て、レグルスもつられて眉が下がった

「大丈夫。最初からできた人なんていなかったから」
「レグルスも最初できなかったの?」
「いや、僕はできたよ」
「うらぎりもの」

顔を逸らし、むくれながらフォークに刺さったままのトマトをぱくりと食べた

「出来たんだからしょうがないですよ」
「うぅ…気が重い…」
「仕方ないね…変身術の授業が終わったらご褒美あげるから頑張って」
「ご褒美?」
「うん」

アゲハは首を傾げ、レグルスからのご褒美をちょっと想像してみる

「(スリザリンの校章が入ったモノだったらなんかヤだな…ありがた迷惑ダヨ)」

少し気が引けるものを思い浮かべ、余計に気分が滅入ってしまった

気が沈んだまま、ドレッシングに漬かりすぎてしなびたレタスを頬張り、朝食が終わる




「アゲハ、絶対上手くいくよ」
「…ありがとう」

それぞれの教室に向かう別れ際、レグルスはアゲハの手を握ったまま自分の唇に寄せる

その時、自分の意志に反した体と脳は、一瞬時間が止まったように感じ、目を瞑ったレグルスの綺麗な顔を、目に焼き付けた

そして、手の甲にキスをされたアゲハは照れくさそうにはにかみ、レグルスと別れて変身術の教室へと向かった


「(びっくりした…昨日のほっぺちゅーといい、手にちゅーといい…キスされるの初めてじゃないけど、ドキドキしちゃったよ。コイビトになるってことは、これにも慣れなきゃいけないんだよね?私最近毎日ドキドキしてるから心臓止まっちゃわないかな…)」




今日がまだ始まったばかりだと云うのに、アゲハは気が張って少し疲れてしまった

怖い怖いマクゴナガルの授業中、居眠りしないよう、以前リリーがくれたマグルのブラックガムを噛んで気を持ち直し、重い足取りで教室に向かった








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