髪/モブ砂


刑務所から出て、数日

また伸びてきた髪の毛を見て

『エドワードの髪は長くて綺麗だね』

そう言った親友の言葉を思い出す

「また、伸ばそうかな」

ポツリと呟いた言葉に一人の男が反応した

「髪、伸ばすの?」

「お前には関係ないだろ」

昔、知り合った男。何故か今一緒に居る

「俺はエドの髪の色が気に入っているし、長いのも良いと思う」

「じゃあ良いじゃないか」

「でも、短い方が俺は好きだよ」

「………」

親友の言葉よりも、この男に言われた言葉の方が嬉しいと思ってしまった

一体自分はどうしてしまったのだろう

「エドワード?」

「うるさい」



次の日

「あれ、エドその髪…」

「別にお前に言われたからじゃない。短いのに慣れて邪魔だから切っただけだ」

「ふ〜ん」

口の端が上がり、ニヤニヤ笑う男

こんな男に言われたから切ったのではない。断じて違う

『エドワードの髪は…』

自分の髪の色が嫌いで、初めて褒められて嬉しくなった

ただ、何となく伸ばしていた髪の毛

それに意味をくれた

嬉しくて手入れなんかしたりして

多分、俺はアイツの事が好きだったんだな。と思う

「エドワード」

「なん……」

髪にそっとキスをされた

「!!!!!」

「似合ってるよ」

「…うるさい」

顔中から日が出るぐらい恥ずかしくなって顔を背ける

恥ずかし気もなく言うコイツが、今は割と好きなのかもしれない






<おわり>















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