懐古

変わった…うん、高校の時からしか知らない彼らからするとそう見えるんだろう。

首を傾げつつ緑間を見てみると、どうやら私と同じことを思っていたらしく目が合って苦笑された。
緑間のこういう表情って珍しいなぁ。

「変わったっていうか、戻ったっていうか…?ねぇ、緑間」
「そうですね、今の赤司が本来の赤司だとオレは思います」
「どちらかといえば緑間のほうが変わったよねぇ」

良く笑うようになった、と伝えると、また眼鏡を押し上げながら顔を逸らされてしまった。
高尾くんに茶化されているのを微笑ましく眺めていると、玲央がそろそろ行かないと、とみんなに声をかけている。

「先輩、ギャラリーに上がって見ていて下さい」

赤司がそう言って体育館へ向けて足を進めたのでそれに着いていく。
みんな元気かなぁ。まぁ元気か、何か月も前のことじゃないし。

ふと合宿所の門の方を見ると、どうやら今到着したらしい誠凛のメンバーがこちらに歩いてくるのが目に入った。
なんか、ちょっと黒子に会うの気まずいな…。

「緑間、荷物ありがとう。午後頑張ってね」

誠凛メンバーからというか、黒子から逃げるようにそそくさと足早に体育館へ向かう。
後ろから高尾くんの戸惑ったような声が聞こえてきて、申し訳ないと思いつつも足を進めた。

体育館に入ると洛山のジャージやユニフォームを着た選手たちがアップしている。
懐かしい風景だなぁ、監督はどこだろう。

「みょうじ、よく来てくれたな」
「お久しぶりです監督。すみません、いきなり…」
「構わんさ。赤司から聞いたよ」

軽く現状報告をしつつ、案内されるままにギャラリーに上がる。
監督の雰囲気も含めて何もかも懐かしい。

ギャラリーの手すりに捕まってみんなの練習風景を見ていると、誠凛のみんなも入ってきてそれぞれアップを始めている。

あれ、黒子いないな。
影の薄い彼をこの中で探すのは大変だと思いながらきょろきょろしてみると、赤司と話していたらしくコートの真ん中辺りで発見できた。



(目が合った)
(それだけなのに、なんかすごく緊張する)
(…負けてしまえ、もう)


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