ストーカーさん、お手紙です

「昨日は楽しかった?なまえちゃん」

朝練の準備をしていたらいつもより早く実渕先輩がいらっしゃったので、挨拶をするとそんな事を言われてびっくりして後ずさる。
なんで知ってるんですか、という疑問は、脳裏に浮かぶ赤司くんの笑顔でかき消された。

「…たのし!かった、というか、はい!」
「よかったわぁ、今度は私たちとも遊びに行きましょうね」

昨日のことを思い出すとちょっと照れくさくて、しどろもどろになりながら答えると実渕先輩はにっこり微笑んでくれた。
本当お兄ちゃん…いや、お姉ちゃんって感じやなぁ実渕先輩は。

「あ、黛先輩!おはようございます」
「…あぁ、おはよう」

実渕先輩越しに、体育館に入ってくる黛先輩の姿を発見して挨拶をすると先輩も返してくれた。
たったそれだけのことなのに、舞い上がってしまう自分がいて。

っていうかちょっと眠そうな黛先輩もすごく素敵ですかっこいいというか可愛いですあざといその涙目さっき欠伸してましたもんね!
あぁ今目こすった!こすった!かわいい!

「朝から元気だな、なまえ」
「はっ…!あ、赤司くん!おはよう」

そう大きな声で叫べばうるさい、と顔を顰められてしまった。
ちゃうねん…今日はなんかテンションおかしいねん私。
というのも、昨日なかなか寝付けずにいたせいで寝不足が理由なんだけど。

部員がどんどん集まってきて、みんなが朝練を始める中ちゃんと私の目は黛先輩を追っていた。
前に赤司くんに、「人ごみで千尋を見つける事が出来るのは僕かお前だけだな」って言われたけどなんか特別感。うれしい。

今月末にはインターハイの予選が始まるので、練習にも気合が入っている。
もともとスポーツ観戦とかは親の影響でよくしていたから、正直インターハイとか結構楽しみにしてるんよね。

「ねー赤司、そろそろ実力テストじゃん?また勉強会すんの?」
「必要ないと言えるだけの自信がお前たちにあるのならしないで済むんだが」
「ねぇな!」
「つっても永ちゃん、なまえに教えてもらったことまだ覚えてるんしょ?」
「あぁ。でもよ、範囲とか違うんだろ?」
「…そういう事だ。なまえ、出題範囲をまとめておけ」
「あの、私一年生やねんけど!?」

朝練が終わり、赤司くんたちと教室に向かう途中でのお話し。
インターハイ前には実力テストがあるので、その勉強会をするといったものだったのだが、この魔王様は私をなんだと思ってるんや…!

「大丈夫だ、なまえなら出来る。頼りにしているよ」

そうにっこり微笑まれたけどこいつ絶対楽しんでるやろ。この悪魔め!魔王め!
と、心の中でだけ悪口を言っていたはずなのに伝わってしまったのかデコピンされた。ひどい。

「っつーかさ、なまえが教えてくれんだったら赤司とかレオ姉とかいらなくね?」
「失礼ねアンタ…」
「お前たちがサボらないように見張りも必要だろう」

そう赤司くんが呟いたところで私達の教室に到着したので、先輩方と別れて教室に入る。と。
ふと違和感を感じたので足を止めたら、赤司くんがどうした?と振り返ってきたので違和感を振り払うように首を振った。

なんか、視線が、痛い…ような?
席に座って、赤司くんがともちゃんと少し話しているのを横目で見つつ机の中にノートを入れようとしたら何かが引っ掛かった。
小さな手紙のようで、それを広げてみると。

"赤司様に近づくなブス"

と、可愛らしい文字で記載されていた。
ほうほう、なるほどな。赤司教かそうかそうか。



(あんな魔王様のどこがええねん!)
(あああもう最悪や!めんどくさい!)

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