『好きだよ』空耳が聞こえた。振り返ると交差点の向こうにいた臨也と目が合った。泣きそうだった顔がみるみる赤くなる、黒のコートが翻る。俺は駆け出した。ーー駄目だ、臨也。逃がしてなんかやらない。 ▼ 一覧に戻る