わにさんへ
一万打リクエスト:わにさんへ


人より、自分に自信がないだけだった。
それは自分と同じ顔と真逆の個性的な中身の人間が5人も他にいたからか、いつしか溜まった他人から受けた数々の言葉に心が崩れたからか、もうこの際どうでもよいと思った。

そんな僕の横で安息して寝るこの子はどうして僕を選んだのか、いつも笑って「一松だから」と誤魔化す。その言葉が酷くテンプレ通りでつまらなくて、少し悲しくて、でも一番うれしかった。

他の誰でもない、僕がいい。
彼女がそう言うから、それでいい。

「…寝れないの?」
「ううん」
なまえの目が開かれて数度瞬きを繰り返した。黒がちなブラウンと濁っていない真っ白な目は人生で見たどの物よりも綺麗だと思った。
「好きだよ」
「…珍しい」
「そういう気分だったから」
「私も一松のこと好き。世界で一番好きなのは私だと思う」
「そうかもね」
僕みたいなやつを好きだなんて世界中どこを探してもなまえ#しかいないよ。
「『僕みたいな奴を好きなんてなまえくらいしかいないよ』って思ったでしょ」
「…エスパーにゃんこ?」
「一松の考えてることくらいわかるって」
「なんで?」
「好きだから」
くすくす笑う彼女にバカにされてるみたいだ。けど心の中は穏やかでムカムカしたりとかそんなの全然なかった。

「でも、一松にはごめんね。私やさしくないから、一松がこのまま誰からも好かれなきゃいいのに、って酷いこと考えてるの」
表情が見えづらい。ぎゅうっと胸元に顔を埋めたなまえの頭をゆっくり撫でた。
「私だけがいい」
甘ったるくて癖になりそう。全然酷くないよなまえ。それは僕にとって本当にうれしいこと。


「僕もいつだって思ってる」
「私も誰からだって好かれてないよ」
「好かれてるよ。おそ松兄さんも、カラ松もチョロ松兄さんも、十四松もトド松もみんななまえのこと大好きだから」
心配になる。
いいかけて呑み込めば、嬉しそうに笑って顔を上げた。

「それが本当だとしても私が一番好きなのは一松だもの」
「…そーですね」
「照れた??ねえ照れた??」
恥ずかしげもなく好きとたくさん言うなまえ、僕もたまにはたくさん言ってあげれればいいのに。

こんなに心の中はなまえに伝えたい言葉であふれてるのに。うまく言葉にできないことがもどかしい。



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To:わにさん
リクエストありがとうございました!
一松にただただ愛される、という事でしたのでベタベタに甘くしてみました。(なってるかな...?)
素直に気持ちは伝えられないけど心のうちは大好きで溢れてる一松をかけて楽しかったです。