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▼  Tube Rose / チューベローズ(月下香) : 危険な楽しみ 1/1☆


あれから銀時は何度か夜更けにふらりと長屋に現れ私を抱き、夜明けを迎える前に去っていった。
その時彼は決まってお酒を飲んでいて、決まってピロートークをする間もなく夜の闇へと消えていく。

愛を囁くことも、囁かれることもなく。
次の約束をすることもなく。
彼の気が向くのを、私はひたすら待ってることしかできないでいる。
それでも何も始まってはいない私たちには、終わりが来ることはない。

私は、それでいいと思っていた、…はずなのに。

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「あっ、ぁっあぁ!あっや、いやぁ…っ」

「っ、…こんだけよがって、何がやなんだよ、なァ」


嬌声をあげる私に、容赦なく腰を打ち付ける銀時は、汗を流して、艶っぽい吐息を私の首筋にかける。潤いの帯びたその瞳が私を見下ろすたびに、私は心臓を鷲掴みにされたように、息ができなくなる。

…きっと、私以外の誰かにも、この切なげな表情を向けているのだろう。


「も、やぁっ!んっ、ふッあぁあっ…」

「もうちょい、っ…楽しませてくれよっ…」


両膝を肩に抱えて、空いた手で膨らみの尖がった頂を強く摘む。首を大きく振って、目尻から雫が溢れる私に気にも留めずに、舌舐めずりをする銀時。

…きっと、私以外の誰かにも、この指で優しく触れているのだろう。


「銀時さ、ダメっ…あッ、んぁあぁっ!」

「お前の声、クるわ…ッ、ほんとに、よっ!」


思い切り腰を掴んで、ラストスパートと言うように、奥へと突き立てるそれが、熱くて熱くて、おかしくなりそうだ。否、私はきっと、もうおかしくなっている。口からだらしなく涎を垂らして、高く声を上げて、銀時から与えられる快感を素直に受け入れた。

…きっと、私以外の誰かには、この低い声で愛を囁いているのだろう。


「わり、っもう持ちそーにねェわ、…っ」

「あ、やぁあっ、!!…あぁぁぁあっ」


例によって、引き抜いたそれから溢れ出す欲を、私の下腹部へ向けて放った。呼吸を整えながら、それをティッシュでふき取る銀時は、珍しく私の横へと倒れ込んだ。


「…どうしたんですか、珍しい」

「ちょっと燃え尽きたわ、さすがに」


クスクスと笑う私の頭に、銀時の腕が伸びてきて、私の心臓はまた不用意に跳び上がる。引き寄せられて、荒く息を漏らすその唇を私の口へと重ねる。突然のことに、目を瞑ることも出来ずに、私は目を目開いた。そしてすぐに銀時はその唇を離して、起き上がった。


「…わりぃ」

「万事屋さ…」


服を整えて玄関へ向かう銀時の背中を、私はいつものように何も言えずに見送ることしかできなかった。
一人になった暗い部屋で、ぼんやりと閉められた玄関の扉を見つめる。


終わることのない関係でいられるなら、それでもいいと思っていた。
それなのに、私は何故、泣いているんだろう。




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