Dolce | ナノ


▼ Birthday Event 1/3




皆さん、こんにちは。
突然ですが、今日は私の誕生日です!!!

昨夜は恋人の銀ちゃんとなんやかんやと一悶着あったけど、無事仲直りして迎えた誕生日当日。頑張って早起きして、前から約束していた大江戸遊園地に無事到着したんだけど。


「オイッ。何でてめェらがここにいんだよ!?」

「あ?こっちが聞きてェよ、てめェそんなふざけた頭で遊園地なんて笑わせんじゃねェ!!!」

「ニコチン中毒のマヨ方くんに笑われる筋合いなんてありませんんんー!マヨくせぇからあっちいけ!しっしっ!」

「旦那ァ。マヨくせェのは同感でさァ。さっさと死にやがれマヨ方ァ」


何がどうしてこうなったのか。
攘夷浪士がウロついてるとか何とかで警備を強化しているそうで、この場におおよそ似つかわしくない真選組のこのお二方。マヨマヨ言われている仏頂面の彼は、前回も登場した真選組副長の土方さん。もう一人は同じく前回登場した真選組一番隊隊長の総悟くん。
沖田くんはさて置き(…置かないでくだせェ)、顔を合わすと専ら喧嘩ばかりのこの二人。


「天パてめぇ遊んでねェ仕事しろよ、んなんだから万年金欠なんだろ」

「オイ!んなこと彼女の前でいちいち突っ込むんじゃねェ!!ったくこれだからモテない男はめんどくせー。僻みっぽいったらありゃしねェよな、なまえチャ…」


「総悟くん、ここからだと一番コーヒーカップが近いよ」

「姐さん、コーヒーカップなんて乗りたいんで?可愛いとこありやすねィ。いいでしょ、行きやすか」


喧嘩ばかりの二人をシカトして、総悟くんと園内の地図を広げて、どこに行こうか模索してた私の肩を銀ちゃんが思い切り引き寄せる。一方の総悟くんは土方さんに首根っこを掴まれている。


「総一郎君?君、なに人の彼女たぶらかしてんの?んん?」

「旦那ァ、総悟でさァ」

「総悟、テメェ。俺らは遊びにきてんじゃねェんだ。ちゃんと仕事しやがれ」

「何言ってんでさァ、土方さん。どこに攘夷浪士が潜んでるかわからねェ。抜かりなく巡回するのが、俺ら真選組の務めですぜ」

「とか何とか言ってサボりてェだけだろ!!!見え見えなんだよ!」

「ってことだからね?なまえチャン、総一郎君は仕事だから。銀さんそういうの嫉妬しちゃうから、結構束縛するタイプだから」


昨日散々銀ちゃんと甘い夜を過ごしたせいか、普段はせっかくの二人っきりの時間が!なんて息を巻く私も、不思議とそんな気持ちにならない。何だか今日はみんなでワイワイしたいような、そんな気分。何なら新八くんと神楽ちゃんも誘えばよかった。


「なまえチャン?何でちょっと不満そうな顔してんの?」

「あのー、土方さん」

「あ?」

「みんなで遊園地、回りませんか?…ダメ?」

「ダメに決まってんだろォォォ!!!何が悲しくてなまえとマヨラーとドSヤローと四人で遊園地しなきゃなんねェの?なまえチャン、今日君の誕生日なの!銀さんとドキドキウフフラブデートするんじゃないの!?なに言っちゃってんのォ!?オイッマヨラー、お前からもなんとか言って…」

「…今日誕生日なのか?」

「そうなんです、…なんかワイワイしたくて」

「そーゆうことなら、仕方ないでさァ。土方さん、女の頼み事、聞けないんですかィ」

「…チッ、今回だけだからな」

「いや、いいから!お前の今回だけ、いらないから!ってオイッ!何ちゃっかり大江戸遊園地のすゝめなんて冊子持ってんだよ!?ちゃっかり楽しみにしてたんじゃねェか!!!」


わーい。ちょっと騒がしくなるけど、遊園地ってこういうのも楽しいよね。不機嫌そうな銀ちゃんにソフトクリームを買ってあげると「こんなんじゃ許さねェからな」とか何とか言っておきながら、ちゃっかり二つ平らげた。現金な男だ。


「というわけで、皆さん今日は私が仕切りまーす」

「おい万事屋。お前の女、随分奔放なヤツだな…」

「俺もたった今、同じこと思ったっつーの」

「姐さん、おやつの時間は何時ですかィ」

「おやつは3時でーす。コーヒーカップはやめにして、ここから一番近いのはお化け屋敷なので、そこ向かいまーす」


「「ちょっと待ったァ!!!!」」


仲が良いのか悪いのか。銀ちゃんと土方さんは声をハモらせて私を睨む。


「なまえ、そーゆーつまらないアトラクションはやめとこ、な?」

「違いねェ。そんな薄ら寒ィアトラクション、わざわざ行くこたねェな」

「なに、二人とも、怖いの?」

「…土方ダッセェ」


二人のただならぬ様子に、思わず問いかけると、銀ちゃんより先に土方さんが噛みついてくる。


「はっ。あんなの怖かねェよ!くだらねェってだけだ!万事屋、テメェはビビってるようだが、俺はテメェとはちげェからな!?ビビってなんかねェからな!?」

「マヨラー、テメェの方がビビってんじゃねェのか?!俺はぜーんぜん怖くなんかないからね!そんなになまえが行きたいなら、もちろん行くからね、むしろ行きたいからね!!」

「うん、じゃあ、行こうよ」


とてつもなくくだらない擦りつけ合いをする二人に、冷たくそう言い放つと、銀ちゃんも土方さんも明らかに顔を引きつらせている。が、見なかった振り。総悟くんに、コッチですぜィ、と声をかけられると、二人は総悟くんを無言で睨みつけた。銀ちゃんが幽霊怖いのは知ってたけど、土方さんもそうだったなんて。どこまでも似ている二人だなぁ。




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