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▼ お医者さんごっこのアイツ / 服部全蔵 by一華 ☆



それにしても、私は何をしているのだろうか。


「服部さぁん、お薬の時間ですよぉ〜」


仕事から帰った我が家にはなぜか畳んだはずの布団が敷かれていて、そこにはヒゲヅラの彼氏が寝込んでいた。「体調悪いから勝手に寝かせてもらってるぜ」なんて言うもんだから、文句も言えずにそれを許したのが全ての間違いだった。やれ「ポカリが飲みたい」「部屋が暑い」「お粥が食べたい」などと甘え放題の全蔵は、私が言いなりになっているのをいいことにあることを要求してきた。


『…これ着て看病してくれたら、治るかもしれねーな』


と、手渡された白い服。封を切って取り出してみれば、超ミニスカートのナース服。…オイ、調子乗んな!なんて言葉は、結構ツラそうな表情で私を見つめる全蔵を見ればすぐに引っ込んでしまった。


『……今日だけだからな』


と、珍しく弱って可哀想な全蔵に同情して身にまとったそのナース服は、屈めば絶対に下着は見えるしやけにパツパツで身体のラインがくっきりしているし、何だか着心地がよくない。こんなのどこで買ってきやがったんだ。だが、要求を飲んでしまったのに変わりはない。たまには乗ってあげようか、なんて思いながら私はその姿で床についた全蔵の傍に座り込んだ。そして、冒頭に繋がると言うわけだ。


「服部さん、体調はどうですかぁ?」

「おー看護婦さん。悪ィな、何から何まで世話させちまって」


バカップルと言われればそれまでだが、案外ノリノリで乗ってくる全蔵に悪い気はせずに私はわざとらしく心配そうな表情で全蔵を覗き込んだ。


「痔の具合が悪いんですかぁ?それとも頭?」

「…頭ってなんだよ、バカって言いてェのか」

「ハイハイ。それじゃ、お薬飲みましょーねー」


風邪薬とコップに入れた水を手渡すと不満気な表情で私を見つめる全蔵に、首を傾げた。


「…飲まないんですか?」

「看護婦さんが飲ませてくれよ、口移しで」

「…はい?」

「起き上がるのつらいんだよね、だから飲ませてくんねェか」


はぁ?と声を上げれば「頼むよ」と元気のない返事が返ってきた。私はあからさまに嫌な顔を向けて、仕方なく薬と水を口に含み全蔵の顔に自身の顔を寄せたところで、またも全蔵は待ったをかけた。


「溢れるといけねェだろ?看護婦さん、俺の上に跨って、ちゃんと口移ししてくれよ」

「…んん?」


口に水を含んでいるもんだから、文句も言えずに顔を顰めた。もうこの茶番がいい加減面倒になった私は、さっさと口移しで薬を飲ませてこの無駄なお医者さんごっこを終わらせようと決意した。布団を引っぺがして全蔵の腰の上に跨って、顔の両側に肘をついて唇を合わせた。無事薬と水を移すことに成功した私はゆっくり唇を離すと、それを飲み込んだ全蔵はいやらしく笑って見せた。


「…看護婦さん、こんな薬よりもっと効きそーな薬があるんだよ、俺には」

「…は?」


私が声を出したと同時に、わしっと両手でお尻を鷲掴みにされた。病人だからと高を括って全蔵の上に四つん這いになっていた私は、突然のセクハラに抵抗出来ずに青筋を立てて全蔵を睨みつけた。


「…は、服部さん?ここ、そういうのするとこじゃないんですけど。っつーか、お前体調悪いんだろ!離せ!」

「看護婦さんがやらしーカッコしてるから悪ィんだろ?」

「お前が着ろって言っ…!」


思い切り捲り上がっていたナース服の裾から丸出しになった秘部をそっと一撫でした全蔵は、無駄に艶っぽい顔をしながらにんまりと笑って見せた。


「じゃ看護婦さんは、全然ノリ気じゃないってワケだ。つーことは俺が何してもよがったりなんてしねェよな?」

「…はっ、な、…」

「それとも、こうなること期待してたのか?」


意地悪な全蔵の笑顔に私は大きくかぶりを振った。そんな私の反応を待っていたかのように「それじゃ、何されても感じたりなんてしねェよな」と付け足されれば、私はもう一度全蔵を睨みつけて「…しねーよ」と呟いた。


「…言ったな?」

「……っ!」


きっと全て計算づくの行動だったのだろう。私の言葉を聞くなり、全蔵は途端に下着の際から指を滑り込ませ、茂みへと指を這わせた。順番も何もないそのせっかちな指に、私は意識を逸らそうと目の前にある全蔵の顔を必死に睨みつけていた。


「声出したらぶち込むからな」

「…っ、くそ、覚えてろよ、後でケツに一升瓶ぶち込んでやる…っ」

「いつまでその威勢の良さ続くかね」


ずりずりと下着を下ろしながら、露わになった秘部をしなやかな指先が撫で回すたび、漏れそうになる声を必死に噛み殺した。そんな私を楽しむように見上げながら舌を突き出してきた。その舌に自身の舌を絡ませてそのまま唇を合わせた。いくらか意識が逸れて楽になると思ったのに、そんな私の思考は見透かされていたのかもしれない。


「…んっ!」


突然秘部に感じた冷たいプラスチックのような感触。私がそれを理解するより早くその冷たい何かが小さく低い音を出しながら震え出した。咄嗟に唇を離した私は、思わず非難の声を上げた。


「待っ…全蔵!それ、…っ、嫌、やめて…、いやぁッ!」

「お前さんが言ったんだろ?何しても感じねェ、ってな。ならローターでいじられても感じるワケねェよな?」

「…あっ、ちが…あ、…あっ!」

「オイ、声出てんぞ」


嬉しそうに笑う全蔵に下唇を食いしばって、それを隠すように全蔵の首元に顔を埋めた。小さく震えるそれが一番弱い蕾に触れるたび、立てた膝がガクガクと揺れ出して、必死に堪える声が漏れそうになる。


「看護婦さん、ここ濡れてきたぞ。やっぱり期待してたんだろ、なァ」

「…ちが、あ…っ!んぅ…っ」

「いいんだぜ、声出しても。俺のが欲しけりゃ我慢する必要はねェんだから」

「…っ、……っ」


ムカつく!悔しい!珍しく体調が悪いなんて言うから、せっかく心配してたまには言うこと聞いてやるかなんて甘やかしてしまったばっかりに。何で私がこんな目に遭ってるの!?何で突然私こんな格好させられて、こんなことされてるの?!ムカつく。絶対もう思い通りになんてしてやんない!絶対声なんか出さない!!!つーか、いつまで看護婦さんって呼ぶんだ!この変態患者!!!


「…っ、ふ、…ん…」

「意外と頑張ってんじゃねェか、それならこれはどーだ」

「ひっ…!」


先ほどまで小さく震えていたローターの動きが突如として激しくなって、私の蕾を必死に刺激する。その刺激に私は全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。容赦のない一点責めに下唇を噛み締め、首を振りながら涙を流した。


「…ぜん、っ…ダメ、もう、我慢できな…あっ、あ!いや、あぁあっ…!」

「お前さんほんとこれに弱いよなァ」

「いぁ…ッ、ごめ、なさ…もう降参するからぁ…っ!止めて、あ、…ぁあ!止めて、止めてぇっ…!」


逃げようとした私の腰を上から押さえつけて、さらに下からはその小さなローターを押し当てられれば、私の逃げ場はどこにもなくなってしまった。震える腰に、声に、溢れる涙に垂れる唾液。意識が徐々に遠のいていく。


「声我慢できなかったから、離してやらねェよ」

「いやっ、…いやぁ、!全蔵…ダメ、も、だめ…っ、イく、…っもぉ、イっちゃ、……あぁぁあっ!!」


プツンと視界が真っ白になった私は、あれだけ強がりを言っていたと言うのに呆気なく果ててしまったらしい。全蔵の上にぐったりと身体を預けた。どうせこのまま抱かれるのだろう。結局、全蔵のされるがままになってしまった。…そう思っていたのに。


「やっぱりなまえが乱れる姿を見んのが一番効くよ」


そう嬉しそうに微笑んで、私を横にずらして布団の上に降ろすなり、すぐに規則正しい呼吸の音が聞こえ出した。…うん?あれ?…あれれ?


「…え、寝るの?」


本当に体調が悪かったのか、ただ私が乱れる姿を見たかっただけなのか、もう知る由もない。私の言葉に何も返ってこないところを見ると、満足して寝てしまったようで。私はぽかんとしたまま、傍にあった寝巻きに着替え、そのまま全蔵の腕に絡みついて寝転がった。


「………」


何とも言えない気持ちを抱えたまま、私も全蔵を追うように瞳を閉じて睡魔に身を委ねた。



お医者さんごっこのアイツ

(何で私がお預けくらったみたくなってんの!?心外なんだけど!)




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とも様!今回はリクエストありがとうございました(^−^) 当時の全蔵×一華ヒロインのお話ということで甘裏希望を頂いていたんですが、書いているうちにただいじわるな全蔵さん本位の裏になってしまいました(´;ω;`)しかも全蔵さん寝ちゃったし…(´;ω;`)ただやりたいだけの全蔵さんじゃないんだぞ!みたいなことを思いながら書いていたらこんなストーリーになってしまいました。もしかしたら多少の加筆修正が入るかもしれないのでご了承ください。
今回はリクエストありがとうございました!


3/3 reina.


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