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▼ 夢見心地な夜のアイツ / 服部全蔵 by一華 ☆



「……」


何か物凄いエロい夢を見た気がする。
その証拠に朝勃ちとはちょいと違う形で、俺の摩利支天様が一足先に目を覚ましている。嫌がる女を割と強引に抱く夢。性に合わねェ夢だが、見ちまったもんはしょうがねェ。もぞもぞと隣で眠る彼女を引き寄せて、首元に顔を埋めた。


「…なァ、なまえ」

「無理」

「早っ!…って何だお前、起きてたのか」


引き寄せたなまえの足に、自身の足を絡ませるとウンザリしたような声が聞こえてくる。湿気っぽく寝苦しい季節だから、ウザがられているだけだと思いたい。


「…嫌な夢見た」

「嫌な夢?」

「全蔵に無理やり抱かれる夢。とてつもなく不快だった」


…こりゃ驚いた。隣で寝てる彼女がまるで俺と同じ夢を見ていたとは。なるほど、先ほどの俺の夢の相手はなまえだったってワケか。どうりでやけにリアルで、夢の中ながらも心が躍ったワケだ。なまえを限界まで自身の方へ引き寄せて、その首元にキスをして、小さく囁いた。


「その夢、正夢にしてやろうか」

「…は」


返事を待たずに俺の腕はなまえの胸元を弄っていた。「暑苦しい」とか「寝かせろ」とか何とも色気のないセリフを吐く彼女をシカトして、直接触れた膨らみは、夏特有の汗を孕んだしっとりとした肌触り。自由のきかない彼女の膨らみを柔らかく揉みしだくと、小さく吐息が聞こえた。


「全蔵、本当にやめて…っ、明日仕事なんだってば」

「お前さんは寝てりゃいいさ、俺は勝手にやってるから」

「…んっ」


首筋に舌を這わしながら、主張し出した頂をツンと引っ掻くと、ピクリと身体が揺れる。強く摘んで見せたり、親指の腹で捏ねくり回したりとしながら、彼女の反応を伺う。あまり時間をかけてちゃ、いよいよ本格的に怒られそうなので、早々に下腹部へと腕を伸ばすと、はだけた裾元から伸びる太ももに触れた。その太ももに沿って下着に触れたところで思わず俺は声を上げてしまった。


「なァ、オイ。お前その夢、本当に無理やりだったのか?」

「…っそうだけど…?」

「にしちゃァ、随分と悦んでたみたいじゃねーか」


指を這わしたそこは、胸を触られただけでこうなったとは到底思えないほどに濡れていた。下着越しでこれだけ濡れてるってことは、相当な具合だ。上体を起こしてなまえの顔を見下ろすと、ウンザリしたような表情に加え、どこか恥ずかしげな表情が垣間見えた。


「…だった、から」

「ん?」

「相手が、全蔵だったから…」


…ハイ、降参。何だお前ってヤツは本当に。普段からこんだけ可愛きゃもっと可愛がってやるってのに。まァ、ベッドの中でしか見せないコイツの惚けた顔に甘い声は、俺だけの特別と思えるから大目に見てやろう。求めるような視線に応え、唇を重ねながら下着を剥ぎ取る。暑苦しさも忘れるほどに、その唇を貪った。柔らかい舌に、自身の舌を絡ませながら、息をする間もなくなまえの熱を感じた。片手で頭を押さえながら、もう片手はぐしょぐしょに濡れた茂みへと指を這わす。蜜の出処に指を埋めると、合わせた唇からくぐもった声が聞こえた。


「…っん、んん…っ!」


知り尽くしたなまえの身体。彼女の好きな部分を見つけ出すなど動作もない。誘われるように中の一点を刺激すると、俺の襟元をぎゅっと掴んだ。ようやく離した唇から、普段の彼女からは想像も出来ないほど、高く甘い声が漏れだした。


「は、あっ…それ、ダメ…あッ、…ッ」

「いいね、その顔。もっと崩れて、もっと俺にその顔見せてくれよ、なまえ」


中をぐしゃぐしゃにかき混ぜながら、空いた親指で腫れた蕾を押し撫でると、なまえはより一層眉を顰めて、快感に顔を歪ませた。


「ぜん…あッ、いやぁ、あっ……」


限界が近そうだと確認した俺は、執拗に責め続けた指を引き抜いて、静かになまえを見下ろした。果てることが叶わなかった彼女はガタガタと震えながら、俺を恨めしそうに睨みつけた。


「ホラ、どーした?」

「…ッ、全蔵、…」

「早く言えよ、イきてーんだろ」

「……お願い、っ…ねぇ、イかせて、全蔵っ…」



ぐしゃぐしゃに顔を歪ませて、ボロボロと涙を流すなまえの懇願を受け入れて、俺は勢いよく硬くなったそれをなまえに突き立てた。他人の情事と比べりゃちょいと変わってるか?そう言われたらそうだろうが、俺はコイツの快感を求める顔が、好きで好きで堪んねェんだ。普段の顔つきは好みじゃねェが、このいじめ倒した時に見せる、原型を極限まで崩して俺を求める時のこの顔。全身の毛が逆立ったかのような感覚に陥るんだよ。


「…あッ、いぁあッ!!あっ…ッ!!」

「たまんねェよ、…なァ、なまえ…」

「全蔵、ッ…あっ、やぁ、あぁッ!」


激しく奥に突き立てる度、なまえの顔は快感に溺れ、どんどん強張っていく。下唇を噛み締めてぶんぶんと首を振りながら、俺を受け入れる彼女が、たまらなく愛おしい。


「なァ、なまえ、…俺のこと、好きか?…っ」

「んっ、あ、!…好き、あぁッ…好きっ…!ねぇ、ダメッ、ぃやあッ…」

「あ、そう?…奇遇だな、俺も…」


好きだ、と耳元で囁いたと同時に、なまえは一際高い声を上げて身体をビクビクと痙攣させた。中がキツく伸縮を始めて、俺に後追いをさせるように促す。それに応えるように、限界まで腰を一心不乱に打ち付けた。


「…あっ、あっ…やぁ!全蔵、!!」

「も、ダメだ…イクぞ…ッ」


最後に思い切り奥に突き立て、勢いよく引き抜いて欲の塊をぶちまけた。はぁはぁ、と荒く呼吸をしながら、俺を見上げるなまえを見つめた。


「こりゃ、…明日、遅刻だな…」

「…ふざけんな、バーカ…」


早くも普段のなまえのトーンに戻っていることに寂しさを覚えながら、俺は布団に倒れ込んだ。先ほどまでの彼女こそが、夢だったのかと思えるほどに。



夢見心地な夜のアイツ
(俺の妄想から成ってるのか、さっきまでのお前は)
(はぁ?寝言は寝て言え)



-end-


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