Ichika -carré- | ナノ


▼ 案内係のアイツ 1/3



額縁に入れられた「糖分」の言葉の下には、社長椅子のようなチェアーにデスク。机を挟んで青いソファが二つ。そのソファに腰を下ろした私は、向かいに座る男の視線に眉を顰めた。


「何か、お前が地上にいるって、変な感じすんな」

「お前が団子屋案内してくれるってゆーから来たんだけど。なにこのボロ屋敷?団子の通販かなんかやってんの?」

「どっこがボロ屋敷だ、どっからどー見ても坂田ヒルズだろーが。お前の目は節穴ですかァ?はァーん?」


先日のお泊まり事件振りに会う銀時は、やはり憎たらしくて敵わない。初めて地上に出て連れてこられたのが、銀時の家とは何とも反応しづらい。褒めるほどいい家でもないし、ボロクソに言うほど悪い家でもない。それにしても、何故私はこいつと二人きりなんだ。


「…神楽とメガネくんは?」

「定春の散歩。すぐ戻ると思うけど、…何、あいつも連れてきたいの?」

「えっ、連れてかないの?」


定春って何だ?と質問するよりも、銀時の口から出た衝撃の発言に私はあからさまに驚いてしまった。えっと、待って、…それって。


「俺ァてっきり、この銀さんとかぶき町デートしてェのかと思ってたんだけど」

「そんなこと一言も言ってねーし!私はこっちの団子食えりゃーそれでいーんだけど」

「ガキ共帰ってくる前に行っちまうか、帰ってきたらうるせーし」

「人の話聞いてるぅ!?」


ニヤリと笑って私の手を引く銀時に、私の心臓が図らずも跳び上がった。この前突然銀時のことを思い出した時といい、私どーしちゃったんだ?何でちょっとドキッとしちゃってんの!?あ、アレだ、アレ。今まで全蔵としかそういう恋沙汰がなかったから、耐性がないんだ。…うん、そうだ。よくわからないけど、そういうことにしとこう。


「何ブツブツしゃべってんの?こっちの死神太夫は電波系なのかよ」

「うっせーバーカ」




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