「あー…」


自主練を終えて帰ろうとしたら雨が凄ぇ。くそっ、さっきまで降ってなかったじゃねぇか!
この雨じゃ寮までダッシュで帰っても間違いなく全身びしょ濡れだな。
止みそうにねぇし…よし、覚悟決めるか。寮の掃除してくれる人、床汚しますすんません!

「オイ待て!」

「うぉっ!…せ、清、隆寺?」

雨の中飛び出そうとしたら急に腕を掴まれてビックリしてこけかけた。何で清隆寺が、って言うか顔が…

「テメェは馬鹿か!この雨の中傘差さずに帰ったらどうなんのか分かんねぇのか!」

「うっ…か、傘忘れた、から」

こっ、怖ぇぇ!ただでさえ顔に迫力あるんだから睨むなよっ!怖ぇよ!
でも傘がねぇんだから仕方ねぇだろっ。

「仕方ねぇ。来い」

「あだっ!いたた…清隆寺、俺が傘持つ」

傘に引き込まれるとちょうど良い高さに傘の骨があって頭打った。
このままじゃまた頭打つ。ここはやっぱ俺のが背ぇ高いし入れてもらってんだから傘持とうと手を伸ばすと勢いよくはたかれた。

「あ゙ぁ?テメェに持たせるか。屈め」

「えっ」

な、何か不機嫌になってるし顔がさっきよりも怖ぇっ。不機嫌になるなら別に入れてくれなくても…いや入れてもらえて嬉しいけど!
清隆寺が居てくれたお陰で濡れずに済んだしな。ここは清隆寺に従うしかない。

でもこれは…顔近…そ、それにこれって相合傘じゃ…!


「オイ、さっさと歩け」

「はっはいっ」

まぁ意識してんのは俺だけだよな。
清隆寺眉間に皺寄ってるし…狭い思いさせて悪ぃ。
でもこうやって一緒に歩けて、いつもより清隆寺を近くで見れて嬉しい。
あー、やべぇ。にやけそうだ。




──────

傘の日に書き損ねたお話です。
雅兎が居合わせたのは偶然じゃなく道場前で立ち往生していた汰狼が見えて生徒会室からお迎えに来ました。
汰狼の分の傘を持ってきてない辺り相合い傘は確信犯です。



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