今日も試合会場のロビーには、大好きなアイツの歌が流れてる。
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アメリカに帰ってきて、10年が経った。
当時12歳だった俺は、オヤジの母校、青春学園に入学するために、日本へ渡った。
親父の話によると、日本にも強いヤツはいっぱいいるらしい。
まあ、どんなに強くても、俺が絶対勝つし。
最初の頃の俺はそんなことばっか考えてた。
俺と名無しの出会いは突然でベタだった。
廊下の角でぶつかり、謝られたその声だけで惹かれた。
あいつは、名字 名無しと言う名前で、顔が隠れるほどの大きなメガネをしていて、「将来は歌手になるの!」と会うたびによく俺に宣言していた。
菊丸先輩が、部室で聞いてたラジオに、何故かあいつの声が流れてすごくびっくりしたのを今でも覚えている。
名無しに聞いたら、すごく戸惑ってたみたいだったけど、ちゃんと話してくれた。
今は舞台を中心にお仕事させてもらってる。
そう言った名無しの目は凄く楽しそうで。
俺は心から頑張れと言った。
そして俺たちは付き合い始めた。
お互い忙しくて、キスとかしてる暇はなかったけど、俺は名無しがいるだけで幸せだった。
全国大会が俺たち青学の優勝で終わり、そして俺はアメリカに帰ることになった。
名無しはいつも、俺のそばで応援してくれたから、俺は正直に話した。
名無しは、泣きそうになりながらも、「信じて待ってる。」と言って俺を見送ってくれた。
そして俺はアメリカに帰った。
***
俺は昔のことを思い出して、フッと笑みをこぼすと、控え室のドアが開き、「もうすぐ表彰式ですので、準備お願いします」と言われた。
今日は日本で試合があった。
結果はもちろん優勝。
だが実はこの大会には、今ではすっかり日本では有名になった名無しが、出演するらしい。
俺はスタッフにある相談をしたあと、そのスタッフが、名無しがメダルをかけてくれるということを教えてくれた。
俺は思わず緩くなった口元を手で押さえつつ、ポケットに小さな箱が入ってるのを確認した。
表彰式が始まり、俺は1番高いところにある台に登る。
そして、メダルを運ぶ人と一緒に歩いて来たのは、
「…名無し」
思わず声が出てしまった。
メールや電話はしていたが、こうして直接会うのは10年前以来だ。
3位から順にメダルをかけていく。
しなやかにメダルをかけるその姿は、昔とは違って、とても大人っぽく見えた。
そしてついに俺の番がやって来た。
「久しぶり、リョーマ。」
俺はいきなり声をかけられるとは思わず、「久しぶり。」と素っ気なく返す。
「こんな風にまた会えて嬉しいよ!」
満面の笑みでそう言って、「はい、メダル」とかけてくれた。
「おめでとう」
その言葉が嬉しくて、俺はギュッと名無しに抱きついた。
所々から、悲鳴のようなものがあがる。
そして俺が抱きついたのを合図に、違う音楽が流れた。
俺は表彰台を降り、名無しの前に跪く。
名無しは、最初こそ小さくパニックを起こしていたが、周りの空気を読み取ってか、俺の目を見つめた。
「一度しか言わないから、よく聞いて欲しい。」
俺がそう言うと、名無しは黙ってこくりと頷いた。
「俺たちは、中1の時に出会ってすぐ離れたけど、俺は一度も名無しのことは忘れたこと無かったよ。」
その言葉に「…私も」と返す名無し。
「10年、凄く長かったけど、これから10年、いや、またさらにずっと一緒にいて欲しい。」
俺のその言葉に名無しは目を見開いた。
そして俺はウェアから箱を取り出し、蓋を開けた。
「結婚、してくれるよね?」
周りからは口笛の音とかのひやかしが聞こえる。
「返事は?」
すると名無しは大粒の涙を流しながら、綺麗に微笑み、
「喜んで…!」
そう言って名無しは俺に抱きついて来た。
たくさんの祝福が、
ああ、聞こえる。
俺たちはそれが聞こえる中、10年越しのファーストキスをした。
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まず最初に、本当にすみませんでした…!
このような素敵な企画なのに、何という駄文!
本当に申し訳ないです…
何分、企画に参加させていただいたのがno name様が初めてでしたので…。
でも書いてて凄く楽しかったです!
庭球純愛1000000hitおめでとうございました!
これからもよろしくお願いします!
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