最近屋上でよく話す彼
に、前々から思っていた疑問をぶつけてみた

「ねえねえ仁王君」

「なんじゃ」

「純愛、ってなんだと思う?」

屋上で私に背を向けてシャボン玉をしている仁王君にそう聞くと、仁王君はくるりと
振り向いて面白そうに笑った

・・いや、これは

「いきなり変なこと聞くんじゃな」

にやり、と効果音が付きそうなほどあくどい笑顔なのにどうしてそんなにイケメンな
んだろうか

すこし羨ましげに仁王君の真っ白いお肌を眺めて、話し始めた

「なんとなく、仁王君に純愛ってイメージないから・・・仁王君の純愛ってどんなも
のなのかなぁー、と」

思いまして。と言うと仁王君は少し目を見開いて、クックッと喉を鳴らして笑った

・・・なんか怖い

「お前さん、前から思ってたけど面白いのぅ」

「それはどうも」

そういうと、仁王君はまた笑った

意外とツボ浅いんだなぁ。

まあいいけどね

「で、俺のイメージする純愛・・・だったか?」

「うん、仁王君の理想の、純愛」

「・・・そーじゃのぅ、俺はまだそんな恋したことなか」

「・・・まあ、そーだろうとは思ってたよ」

今まで聞いた仁王君の噂は、彼女とっかえ引っ変えとか、そんなのばっかり

最長で1週間、最短で1時間

付き合うときも告白されて気がむいてそれなりに美人だったら付き合う、って感じら
しい

まあ、そんな噂ばっかりだから私もこんな質問したんだけどね

「俺にとって恋愛はただの駆け引き。・・・そこに愛なんてもんはなか」

「・・・ふぅん?元カノさんたちかわいそう」

やっぱりな、という感情と同情しか生まれないけれど

酷いだろうか、でも仁王君の元カノがどうなろうがぶっちゃけこちらは知ったこっ
ちゃない

「・・・恋なんて、一生せんと思っとった。女なんて嫌いじゃし、厚化粧も香水も語
尾を伸ばす喋り方も、全部全部気持ち悪くて仕方なかった」

「・・・ほおほお」

その言い方じゃあ、まるで今は恋をしているみたいな感じだね

・・・まあ確かに今は女遊びも落ち着いてるらしいし、そんな気も少しはしてたけ
ど、でも

「俺が思い描く純愛は、一生そいつのことを想い続けてそいつのためなら死ねると思
えることナリ」

「・・・なかなすごい純愛ですね」

「そうかのぅ」

そう言って笑う仁王君にズキリと胸が痛む

そんな笑顔で、そんな声で、愛を囁くのだろうか

その、好きな人に

「・・・俺の愛は重いナリ。なんせ一生想い続けるんじゃからの」

「・・・ふーん」

「束縛もかなりする」

「・・へえ」

「ほかの男とは離さないで欲しいし、俺以外のことを愛する・・・なーんてことに
なったら、相手のこと殺してしまうかもしれん」

少し呆れながらも、仁王君にならいいかもしれないと思ってしまった自分を絞め殺し
たい

「・・・それはそれは、過激な愛情表現なことで」

ため息混じりにそう言うと、仁王君は普段嘘をつきまくっているようにはまるで全然
ちっともみえないような、天使みたいな笑顔でこういった

「でも、その分ずーっと幸せにしてやるぜよ。・・・だから、俺と付き合ってくれん
かのぅ?・・・もちろん、結婚を前提に」

「・・・は、い?」

「言ったじゃろ?俺の愛は重いって・・・選択肢なんか与えない、お前さんは俺のも
のぜよ」

そう言ってくる仁王君に、ああもう逃げられないなと思いながらも、仁王君の傍に
ずっといられるならそれも良いかもしれないなと思ってしまった私はもう仁王君に毒
されているのだろうか



待ってなんて云わせない


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純愛って聞いて、まっ先に思い浮かんだのが仁王な私はおかしいでしょうか

仁王は純愛って言葉は似合わないけれど、本気の恋をしたら誰よりも真っ直ぐな気が
します

・・・ちょっと重いと思うけど

私にとっての純愛は「誰よりも愛した人のそばにいて、ずっと想っていられる」だと
思います

このお話でそれが表現できていたら嬉しいです

純愛というテーマでいろいろ考えさせられました。素敵企画に参加できてよかったで







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