最近わたしは侑士を避けているらしい。本当のところ、よく分からない。でもいつも一緒に居る蓮が言うんだから本当なんだと思う。避けはじめたのは侑士に本命の彼女さんができてからみたいだ。片思いの相手だからかなあ。
わたし避けてたんだ、って言ったら蓮は不思議そうな顔をして





「無意識?」





って言った。
無意識。確かにこの言葉が一番似合ってるなーなんて他人事のように思いながら図書室の本の整理を日吉くんとしていた。





「疲れたね、日吉くん」
「はい」
「部活行ってもいいよ」
「いえ、今日はミーティングだけなので」
「そっか」





じゃあ侑士は彼女さんとデートでもしてるのか。こんなときまで彼のことを考えるなんて、自分に呆れるよ。どんだけ好きなんだ。





「今日はこれくらいにしようか」
「はい、お疲れさまでした」
「お疲れさま」
「お先に失礼します」





一礼して去っていった日吉くんと入れ替わって侑士が図書室に入ってきた。
頭が、心が、全てが、彼を拒否する。わたしは彼の友達なだけで、彼女なんかじゃない。2人で居ると、きっと溢れてしまうよ。





「なあ、名字」
「なに」
「最近避けてるやろ」
「誰のことを?」
「俺のことを。」
「勘違いだよ」
「違うやろ、」
「…」
「…」
「…」
「…俺彼女と別れてきたんよ」
「…」
「てか振られてしもてんけど、」
「…」
「ほんまに好きやってんけどな」
「なんでそれをわたしに言うの」
「、え?」
「どうせ知ってるんでしょ?わたしが侑士のこと好きで仕方ないこと」
「…ごめんな」





そんなに優しく断らないでよ、もっと酷い振り方をしてくれればわたしだって諦めがつくのに。いつまでもこの恋心に苦しめられることになる。








侑士は去り際に、ありがとうと言った。それは酷く哀しげで、甘ったるい恋人みたいだった。







やさしい恋人のよう


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