高く空へほおったボールと手を合わせる

もう空は鈍い紅に染まっていて眩しくはない

パシッ、

ボールがネットに当たり、虚しく落ちる

「…っ、はあはあ」

1stをし続けた手が痛む、ボールを手にして

また空へほおった

パシッ

もう引っ掛かったのは何度目だろう

視界が滲んで一気に疲れが押し寄せる

このまま倒れてしまいたい体に力を込めてボールを拾ってから片付ける

「…なにしてんの」

ボールを50ずつ入れたかごを両手に部室へ運びながら話し掛ける

「んー、見てる、のかな?」

「あっそ」

話し掛けたのは鳳

部室の鍵を閉めてラケバを肩にかけてから横を通り過ぎる

「一緒に帰っていい?」

驚いた、まさかその為に待ってた?なんて思って

「…なんで」


何故か思ってないっていうか、深い意味がない言葉をかけてるのかは自分でも分からない

「あ、駄目?」

身長の高い鳳は寂しそうに顔をひがめた

「…駄目じゃないけど」

駄目なんてわけない

だってそりゃ。その、鳳が好きだから

まあでも哀しい思いはしたくないわけで期待はしないつもり、まあ無理に近いけど

「ありがとう。あ、持つよ」

きっと鳳は誰にでもこういうことを言うんだろう、優しいから

「いいよ、これだけだし」

普通のカバンは妹に押し付けたからラケバだけの状態、大分軽い

でも鳳は頑固として譲ってくれなくて結局渡した

会話はそんなになかったけど鳳が以上に可笑しかった

なんか吃ってたし、

「なんかあったの? 鳳」

「え、いや? なんもないよ」

笑顔が引き攣ってた

気付けば家の前で、いつの間に…という感じだった

「鳳、んじゃ「あのさっ」え…」

ラケバを受け取って挨拶を済ますと呼び止められた

「あの、好きなんだけど…。付き合ってくれないかなっ」

…鳳、と…わたし、が?

「返事は、いつでもっいいから!!」

ちょ、なんでいきなり告白して逃げようとしてんのっ!?

「おおとりっ!?」

いま、言わなきゃ多分

私から会って言えない、から

必死に呼び止める

「いや、いつでも良いから」

だから逃げないでよって、

「長太郎!!」

肩を少し震わして振り向いた彼に背伸びしてキスをした

顔を真っ赤にして挙動不信な動きを始めた鳳に告げる

「私、鳳のこと好きだから!!」

伝わってほしくて、願うと凄く緊張してるからか鼓動が五月蝿い

「…ほんとに?」

子犬みたいな目で見てくる鳳に「うん」と一言つげる

「よかったぁ。あ、あのさ鳳じゃなくて、これからは…その、長太郎って呼んで、くれるかな?」

さっきは普通に言えたのに、意識して言うと結構恥ずかしい

「長太郎、これからよろしくね」

きっと顔は真っ赤だろうけど慣れていくよね

また明日、長太郎は元気に手を振ってさっき通った道を走って行った

送ってくれたんだ、と思って凄く申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちが混ざってなんか胸が苦しい

長太郎、愛してるから


―――――――――――――

純愛ということで

白チョタでやりました


戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -