俺には

私には






好きな人がいます






俺の好きなやつはおんなしクラスの名字名無しさん

私の好きな人は同じクラスの白石蔵ノ介くん





可愛いくて/かっこよくて



優しくて/爽やかで



照れて笑う姿がなんと言っても可愛えぇねん

白石くんが笑う度胸がきゅうってなります









とにかくめっちゃ好きやねん
とにかくすごく好きなんです




――――――――――――――







『うわぁ、もう暗い…』




学校の帰り道、たまたま部活が休みで、部活の友達とちょっと寄り道するつもりで寄った雑貨屋さん

そこが意外にも結構可愛くて、私達は日が暮れるのも忘れて、そのお店に籠っていた



「ほんまや…うちこっちやから気ぃつけてな〜」

『うん、ありがとう』

「また明日なぁ」
『ばいば〜い』







友達とわかれた約3分後



『く、暗いよ〜〜』


部活のときは必ず誰かいるし、こんな暗い中1人で帰るのは始めてで、いつもの帰り道も怖くて仕方なかった

おまけにいつもより長く感じる!!


『誰も通らないし…こんなことなら大通り通れば良かったかも…』


友達と帰るときにはまったく気にならなかった些細なことも今はヒシヒシと恐怖に感じてしまう

後ろからする自転車の音ですら怖くて振り向けなかった





「やっぱし名字さんやん」



『?!?!』





気にしない、気にしない、そう自分に言い聞かせながらも鞄の持つ手を握りしめた瞬間に後ろから声がかかった

まさか声をかけられると思ってなかったので、更に鞄を持つ手に力を込め、声にならない叫びを上げた




「…えっと、名字さん、やんな?」




しばらくすると冷静になれて、やっとその人物が特定出来た







『白、…石くん?』





「せやで?今頃気づいたん!?」







白石くん?!なんで白石くんがここに?ていうか、え?なんで、白石くん!?!?




私はまた恐怖とは別に、驚きと嬉しさとごちゃごちゃになって口をパクパクさせていたら、白石くんは少し考えた様子を見せた後、なぜか乗ってた自転車から降りた



そして自分の自転車の後ろを指差しながら







「乗りぃ」








と、言った
























『む、無理です!』











「…え?」




全力で俺の誘いを断る名字さん

いや、俺かて自分でちょっと馴れ馴れしいかな思うたけど…そない意気込まんでえぇのに…


好きな人にこない拒否られて若干、いやだいぶ傷ついとった


ただ遠慮しとるんか、それとも俺やからか…あかん、後者やったら俺生きていかれへん!






そんな俺を他所に名字さんは



『私が乗ったら白石くんの自転車パンクしちゃうよ!!!』


と、いっぱいいっぱいって感じのオーラを出してそう言うた




もしかして






緊張しとる?












―――俺やから?











「ぷっ、ハハッ!それは困るわ!!せやけど…このまま俺だけ帰って名字さんになんかあった方が困る」




白石くんが…笑った…?




同じクラスでもこんな風に声を上げて笑う姿は見たことなくて、今は白石くんが笑った顔をこんな間近で見れた嬉しさでいっぱいだった

そのせいか、再度白石くんに「せやから乗ってくれへん?」と言われた後、私は無意識のうちに首を縦に振っていた








『お、重くない?』


「言いにくいんやけど……、堪忍…前に進まれへん…」



乗ったはいいが、白石くんがなかなかこぎ出さないので、まさかと思ったら案の定!

いやー!!パンクする前に降りなければ!!



『ご、ごめんね!やっぱり降りるから!!』



急いで降りようとしたら、急に白石くんが自転車をこぎ出した




「はは、嘘やって。名字さんめっちゃ軽いやん」




『〜〜〜ッ、白石くん意地悪だ』

「それは嬉しいわ」


『…褒めてないもん』



白石くんは本当は結構意地悪だって分かった


でもただのクラスメートの私をわざわざ乗せてくれるなんて


やっぱり優しいなぁって、いろんな白石くんを知れて、元々白石くんのこと好きだったのがもっと好きになった気がした








「しっかり捕まっときや」

『あ、あんまりスピード出さないでね?』



「ん〜?ブレーキ?なんやそれ〜」

『しししし、白石くん!?!?!?』




きっと無意識なんやろ



少しチャリを飛ばすと俺の背中にぎゅーっと捕まる名字さん

それがめっちゃ嬉しくて、俺は“ゆっくり”って名字さんの言葉を無視してチャリをこいだ




あぁ、後ろから俺の顔見えへんで良かったわぁ








絶対、ニヤケてる自信あんねんけど…













「ん〜?ブレーキ?なんやそれ〜」

『しししし、白石くん!?!?!?』


ブレーキがついてないわけじゃないのに、白石くんは本気で使う気がないのか、一向に速度を落とす気配がなかった


しかも私どさくさに紛れてしがみついちゃったよ!!


うわ、うわ!!


今更離れたら変かな?!
ホントは離れたくないけど…って違う!!

でもでも白石くんに迷惑だよね…

心の中で葛藤していたせいか、少しだけ腕の力を緩めた



迷惑かもしれないのに結局離れられなかった………



自己嫌悪に落ちていたら突然白石くんが





「お、坂道やん」






と、そう言ってなぜか、




なぜか更にスピードを上げた







『降りた方がいい?』

「大丈夫やで、下り坂やし」

『…へ?』

「こっちの方が楽しいやん?ちゃんと家に届けたるさかい安心しときぃ」




『いや、あの、ちょ………』










下り坂まで5秒前










「もうちょいしがみつかんと落ちんで?」

『……ちなみに…そこを通らないという選択肢は…?』

「ない。ほら行くでぇ〜」









『きゃあぁぁああ!!!』















ちゃりんこラストーリー
(白石くんやっぱり意地悪だ!!)(あかん、ほんま名字さん可愛えぇわ)


---------------
こんな風に好きな人と近づけた瞬間って嬉しいですよね(^^)それが表現出来ていれば良いのですが…、コロコロ視点が変わる上に、無駄に長くなってしまいすみません!でも書いていてとても楽しかったです(笑)

庭球純愛様、1000000hitおめでとうございます!企画とても楽しませていただきました。これからも頑張ってください!


戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -