いつも優しくて、私の味方でいてくれた亮。


私が亮に惹かれるのに時間は掛からなかった。


幼馴染みという関係。


それが不満だった訳じゃない。


でも…


誰よりも傍に居たくて、亮の一番になりたかった。


日に日に彼への想いは募るばかり。


テニス部で頑張る亮を見て、ますます好きになって。


恋の楽しさを知り、恋の苦しさを知った。


亮は人気がある。


だから告白なんて毎日と言っても過言ではなく。


たまたま告白現場に居合わせた時、芽生えたのは嫉妬心。


告白する女の子が可愛かったものだからもしかしたら亮は付き合うのかな、なんて思ったり。


不安になった私は聞いてみた。


『誰かと付き合ったりしないの?』と。


そしたら亮は『興味ねえ』とぶっきらぼうに言うだけ。


安堵したと同時に、寂しい思いも生じた。


亮は恋に興味がないんだ。


私の想いが届くことも…ないのか。


なら亮に告白なんてしない。


告白をして幼馴染みという立場を失えば、私は亮の傍に居られないもの。


“幼馴染み”でいいから亮の一番傍に居たい。


いつか亮に大切な人が出来た時…


祝福してあげたいな…


「おい、名無し。」


今、私と亮は隣の席。


教科書を忘れた時に見せてもらえるし、すごくラッキーな席だと思う。


「何?部活は?」


「あのよ、実は話が「宍戸くん!」


亮の言葉を遮り、名前を呼んだのは確か…


A組の女子。


可愛いと評判の…


「あのっ、来てもらえ……名字、さん…」


私を見た瞬間女の子に困惑したような、言葉では説明できない表情が表れる。


…告白、か。


「行ってあげなよ、亮。」


他人の告白を邪魔する趣味はないからね。


亮は少し悩んだみたいだったけど優しい人だ。


女の子の方に行った。


…私も帰ろ。


自分の鞄を手に取り教室を出る。


亮…


彼女作る気がないって言ってたよね…?


でもあれだけ可愛い子なんだから付き合ってもおかしくない。


あれ…?


少し胸の辺りがズキズキする。


痛い…


ほんの少し、涙が零れた。


悩みながら歩き、校門を出てしばらく。


後ろから私の名前を呼ぶ、愛しい声が。


「名無し!」


そこにいたのは、大好きな彼で。


腕を掴まれた。


「り、亮…」


制服のままの彼。


急いで走って来たの…?


「話があるって言っただろ!勝手に帰るな!」


「ご、ごめん…」


こんなに怒る亮を見るのは久しい。


とても大事な話だったんだな…


「亮、A組のあの子は…?」


怖い。


付き合うことになった、なんて言われたら…


「振ったに決まってんだろ。俺は…」


亮は少しうつ向きながら赤くなり、息を飲んだ。


「一回しか言わないから聞いとけよ。」


「うん。」


私の方に向き直り、はっきりと。


「好きだ。」


と言った。


「えっ…あの…」


今の私は真っ赤だと思う。


いきなりの告白に戸惑いを隠せるはずがない。


「けど亮は彼女作らないって…」


「バカ!あ、あれはお前以外に…興味がねえからで…」


亮…


「はっ!?名無し!?」


私は亮に抱き着いた。


嬉しい…!


亮は照れながらも私の背中に手を回してくれた。


これからは…


幼馴染みじゃなく、恋人として亮の傍にいられる…




(そういえば亮、部活はどうしたの?)(やべぇ…忘れてた…)



END

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純愛とは迷いがなく一途な想いではないかと思いました。


1000000万打おめでとうございます!



爽歌


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