「名無しちゃん!」

屋上へ行く扉を開けると、いつものように名無しちゃんはそこにいて、俺に手を振った。
名無しちゃんは学校が終わるといつもここにいて、部活が始まるのを待つ。
そう、テニス部が始まるのを。



「ここってテニスコートよく見えるよね」
嬉しそうな顔で名無しちゃんはテニスコートを見下ろした。



俺は、名無しちゃんが好き。
笑った顔とか、照れてる顔とか。
全部、大好きなんだ。
その顔を見るために、俺はいつも名無しが喜ぶ話をしてあげるんだ。
名無しちゃんの、好きな人の。



「でね、名無しちゃんが可愛い、って言ってたよ。よかったね」
名無しはそれを聞くと、照れながら嬉しい、と笑っていた。



パチン…ッ

聞き慣れた、指を鳴らす音とともに、テニスコートの取り巻きと、

隣から名無しの小さな歓声が上がった………。








(悲しいけど……応援するよ)




企画:no name様 提出


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跡部が大好きなヒロイン。
そしてヒロインが大好きなジロちゃん……。
苦めの純愛でした。


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