※ESCAPEの番外編で未来の話




「今年も一年が過ぎるな」

「はい、姉さま」


今日は大晦日。とは言えこの英国では赤と白の歌合戦や除夜の鐘といったものもない。せめてもと、自分の部屋には炬燵とミカンだけは完備しているだけだ。


「不思議です、姉さまの部屋は落ち着きます…」

「ジャパンの神秘だ、レギュ」

「そうですね…でも僕、兄さんがいないことも理由の一つだと思うんです」

「……レギュ」


そう、シリウスはジェームズの家にクリスマス休暇はずっと泊まりに行っているためいない。レギュラスはそれが嬉しいらしく、ずっとニコニコしている。レギュラス曰わく、

“ずっと姉さまを独り占めできます!”

らしい。いや、とても可愛らしいが。


「あ、後一分ですよ」

「もう今年も終わるのか、早いような気がするな」

「はい、楽しくて短い一年でした」

「それは良かったな、有意義なことは良いことだ」

「でも、兄さんを苦しめて呪いをかけることはできませんでした…今年一番の悔いです」


そういえば、ずっと背後を狙っていたような気もする。


「だがレギュ。私とやったチキンホイホイは成功しただろう?」

「そうですが…僕だって男です。一人で悪戯くらい成功させたいです!」


その言葉は他の場所で使って欲しかったがな。そして相変わらずシリウスに一泡吹かせたい可愛い弟。


「あ、一年が始まったな」

「あぁ、迂闊でした!僕としたことが…兄さんのことを考えながら一年を終えるなんて…!」

「じゃあ、レギュの今年の目標は決まったな」

「はい、兄さん暗殺ですよね!頑張ります、上手くやりますから…」

「レギュ…だんだん話が恐ろしくなってるぞ」



「……まぁ、そのことも頑張ります、けど」


頑張らなくていいの一言が言えないのは面白いからいいのか、レギュラスの目が光って恐ろしいからなのか。……両方か。


「姉さま、今年もよろしくお願いします。大好きです」

「私も大好きだよ、レギュ」


今年も、来年も、ずっと先の未来だって。

―――その笑顔を守れるように。





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一年間よろしくお願いします






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