時は流れて、レギュラスが9歳、私たち双子も10歳になっていた。


「相棒!今日は、何すんだ?」

「そうだなぁ…新しい魔法でも作るかい?」

「姉さま!僕も一緒にしてもいいですか?」


シリウスは、10歳には見えない男前になり、(まぁ、自分と同じ顔なのだが)悪戯好き。(レギュラスは可愛いという表現の方があってると思う。)そして、レギュラスは私を“姉さま”と呼び慕ってくれる可愛い弟になった。


「何作るんだ、体ビヨビヨ伸び縮み薬か?」

「兄さんと一緒にしないでください。姉さまはそんな馬鹿なもの作りませんよ」

「馬鹿ってお前なぁ…大体、何で相棒が“姉さま”で俺が“兄さん”なんだよ!」

「何ですか?様付けされたいんですか。前々から思ってましたが、気持ち悪いです」


気付いたこともある。作品の中でレギュラスはほとんど詳しい性格も記されてなかったが、シリウスとの仲はあまり良くなかったはずだ。しかし、こう見る限り普通の仲のいい(?)兄弟のように見えるのだ。


「姉さま、兄さんはほっといて僕とお菓子作りませんか?母上が、料理の本を買って下さったのです」

「そうだなぁ…久しぶりだしな。レギュは何のお菓子が食べたいんだ?」

「姉さまの作るものは何でも好きです」

「ほんと、可愛いなー」

「オイ!俺を無視するな」


平和な日常。シリウスとレギュラス、そして、オリオンにヴァルブルカ。……ずっとこうだったらどんなにいいのか。


「じゃあ、アップルパイを作るか」

「僕、お手伝いします!」

「俺、食う専門ー」

「チッ…使えない兄貴め」

「え」



「じゃあ、レギュ。林檎剥こうか」

「はい」


例え闇の時代になったとしても、私はこの兄弟は守っていく。…“命に代えても”なんて、自分らしくなくて言いたくないけど。命をかけても守る価値はあると思った。


「姉さま…来年は…ホグワーツですね」

「そうだな」

「やっぱり、僕たちは…―――」


レギュラスが言いたいことは良く分かる。普段優しいヴァルブルカさんがこれだけはいつも言うのだ。“スリザリンに入りなさい”―――、と。実際、私たちは会ったことも行ったこともまだないが、パーティではヴォルデモートに会っているようで。“我が君”と狂ったようにつぶやく両親の声も聞いたことがある。だけど、


「本当にそう思うのかい?」

「え…」

「七年間も、勉学し、知識を得る場所だ。自分の意思にそぐわないところでいいのか?」

「ですが…姉さま…」

「…私は、入るつもりはないよ」


そう、入るつもりなんて無い。私は、闇の道になんか進まない。以前の私なら、素直に受け入れていたかもしれない。でも、今は―――


「いくら母さんが言ってもね。私には、私だけの未来があるからね」

「僕も…姉さまの言うように……未来を…未来に希望を持ってもいいんでしょうか」

「当り前じゃないか。レギュだって、何もかも言いなりになる必要はないんだよ」

「そっか…」


えへへってレギュラスは花の咲いたような笑顔を私にくれた。……本当に、未来が希望あるものになればいいのに。


「オイーまだかー」

「相棒、まだ焼けてないぞ。半焼けのものならあるが」

「うわーいらねー」


そのときだった。ほんの一瞬、レギュの目があやしく光ったのを私は見た。


「姉さま…僕は、ほんとあの兄貴にはいつも苛立ってるんです」

「まぁ、見てればわかるよ」

「本当に、姉さまと双子であることが疑わしいくらいなんです」

「…うん」

「いつもいつも…僕に悪戯するんです」


その悪戯に一枚噛んでますなんて言える雰囲気じゃないな。


「…そうだな」


大体、シリウスは要領が悪いからいけな(ry


「今日は、僕がしてもいいですよね。姉さま」


レギュラスは、恐ろしいくらい綺麗な笑みを浮かべていた。…私には、一生向けてほしくないくらいの。




(僕だって…あのクソ兄貴にムシャクシャしてんですよ)
(あ、姉さまには内緒ですよ)
(僕が、こんな性格だってこと)
(だって、好きな人にはいつだって良い面を見せたいじゃないですか)








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