あの後、散々ブラック三姉妹に遊ばれた私たち。…あの姉妹は恐ろしいと胸に刻んだ。だがそれ以上に、隣でずっと笑ってるシリウスが一番すごいやつなんでは?と思った。まだ、一年ほどしかいないが我が家が恋しい…そして今は、三姉妹の母親のドゥルーエラさんに匿ってもらっている。
「あら、ふくろう便?こんな時間に珍しいわね」
魔法で家事を行いつつ、手紙を受け取るドゥルーエラさん。
「えーっと…あらぁ…」
途端に顔がほほえましいものを見るような顔つきになった。
「あなたたちもついにお姉さんとお兄さんね。弟、生まれたそうよ」
ついに…か、弟…レギュラス・ブラックがね…。
「きゃー」
「シリウスはいつでも楽しそうねー」
「あーこんなとこにいたのー!」
また来たな…。
「どこだい?シシー」
「ベラおねえちゃん、アンおねえちゃんあそこー」
「あら、あなたたち…あんまりいじめちゃだめよー」
「いじめてないわ、ママ」
「全くもう…そうだ、パパはどこに行ったの?」
「部屋で本読んでる」
「そう、じゃああなたたちも支度なさい。ヴァルブルカの病院に行くわよ」
娘にそう言って、ドゥルーエラさんは私とシリウスに笑顔を向けた。
「早く、ママに会いたいでしょう?今から病院に行きましょうね」
レギュラスと初対面…やっぱり私たちに似るのか?全然関係ないことだが、私とシリウスは恐ろしいほど似ている。黒髪も、灰色の瞳も…まだ互いに小さいから、分からないがこの調子ならなかなか将来は期待できそうだ。
「…姿現しはきついわね。フルーパウダーにしましょうか」
ドゥルーエラさん……いい人。
「ミズキちゃん…シリウス…来てくれたのね。あなたたちの弟、レギュラスよ」
ヴァルブルカさんの傍に眠る小さな男の子。この子が…私の弟…。
「…うーきゃっ」
レギュラスは、手を伸ばしていた。…この方向、私にか?
「あら、レギュラスはミズキちゃんが好きなのね」
「わー(可愛い)」
何かはわからないけど、そっとあたたかいものが心の中に流れ込んだような気がする。レギュラスの笑顔を見たからそう思えるのか…。ただ、私の中で二人の大切な弟を、殺すわけにはいかないと強く思った。
(改めてよろしく、シリウス。そして、レギュラス)
(私が…守ってみせる)