※ぬるいR18









俺は今危機的状況に追い込まれていた。ヤバい。それはもうヤバい。何がヤバいかというとそれは俺の貞操観念とか倫理観とかそういった類のもので。それを根底から力任せにひっくり返そうとするのは、目の前の金髪。
「ちょっ、シズちゃん、何こんなとこで盛ってんの?!嘘、や…ッ」
「うるせぇ。黙っとけ」
ああ、夕暮れ混じりの空はビルの隙間からも垣間見えて俺に一時の安らぎをくれる。しかし俺にはそんな安らぎの時間すら許されない。
何故なら、俺は今夕暮れ時というただでさえ人通りの多い池袋で、いくら人気のない路地裏といえども明るい内から盛られているからだ。

良識ある意見を一蹴したシズちゃんは俺の首筋に顔を埋めて時折そこを吸い上げる。首筋に明るい色の髪が時折触れてくすぐったいのに悲しいかな、手首を拘束されている俺は払いのけることすら出来ない。
せめてと顔を逸らしてみてもそれは逆にシズちゃんの眼前に首筋をさらけ出すことになって、あれ?これ逆効果?
「待っ…誰かに見られたら、どうすんの、こんな…ッあ」
精一杯制止しようとするのに、ちりりとした痛みに吐息が漏れればシズちゃんの息を飲む音が俺の耳にも入った。
「そんなもん、見せつけてやりゃいいだろ」
「最あ…ッン…!」

いつの間にかシズちゃんの広い掌は俺のシャツの中に潜り込んでいて、悪態をつこうとした唇を止めるように胸の飾りを摘まれる。不意打ちのようにされればいくら俺でも跳ねる肩を押さえる術はなかった。
それに気を良くしたのか、長身を屈めたシズちゃんは晒された突起に舌を這わせて執拗に吸い上げたり舐めたりを繰り返す。
「ッン、あ、…っや…シズ…う…っ」
「あっれぇー?静雄さんと臨兄じゃん。何やってるのかなー?」
「…偶」
柔らかな金色に手を置いて俺の思考が霞がかるかと思われたその時、響いた場にそぐわない明るい声に俺は冷や水を浴びせられた気分になった。
「く、九瑠璃…っ舞琉…」
声の発生源に目を向ければそこには予想に違わず俺の苦手とする妹達がいて、あろう事か無造作に置かれた荷物の上に腰掛けにやにやと笑って俺達の行為を眺めている。

「何って、見りゃわかんだろ」
「…っん…ちょっと、シズちゃん…流石に、これ以上は…ッ」
どう考えたってここは一旦中断すべき状況なのにシズちゃんは俺のズボンのチャックを下ろして下着越しに自身をなぞってきた。俺が自由になった手でシズちゃんの両肩を押してみても当然の如く彼は微動だにしない。まさか、嘘だろ?妹達の前でヤる気じゃないよね?それだけは勘弁してよ。

そんな俺の願い虚しく拒絶の意を受けた彼は不機嫌そうに俺を一瞥するとまるで自分が正しいとばかりに言い放った。
「ここまできて止められる訳ねぇだろうが。おとなしくしとけ」
「ええ?!なに、見せてくれるの?静雄さん太っ腹!」
「…嬉」
こいつ、刺してやりたい。
恋人らしからぬ思考が頭をよぎるがそれも今の状況を鑑みれば仕方ないことだろう。つーか兄の犯される姿を見て喜ぶな、九瑠璃、舞琉!
「嘘、冗だ、っア…ッ」
俺の言葉を否定するように下着の中に手を入れられて自身を緩く握り込まれれば思わず吐息が零れる。そのまま擦り上げる手は優しくて、自然熱を持っていく自身を抑えきれない。
「…ふ、う…ッあ、ァ…っん…!」
「その代わり黙ってろよ?こいつすぐ気散らすからな」
「はーい!」
「…是」

無意識に向かった視線の先では先程よりも更に楽しげに、そして興味津々に俺達を覗き込む双子がいて、せめて声だけは聞かすまいと自由になった手の袖口を噛んだ。そんな俺の涙ぐましい努力などシズちゃんはどこ吹く風でますます扱く手を速める。
「ッん、く…ふ…っンン…ッ!」
そうなれば快楽に勝てるはずもなく、背筋をぞくりとした感覚が駆け抜けると同時に熱が解放されて白いものが下肢を濡らす。シズちゃんは俺が放ったものをその大きな掌に受け止めて下着ごと俺のズボンを膝まで下げ、そして徐に白濁に濡れた指を秘孔に差し入れた。

「っん…〜ッ!う、く、…」
本来の役割を押し付けられているそこは指一本でもきつく締め上げて拒絶の意を示す。その癖目の前の男の指には酷く従順なようで、ぐるりと中を掻き回されれば濡れた音と共に逃がすまいと締め付ける。
「…ふ…っう、ん…ッむ…」
二本、三本と増やされる指は俺を内側から溶かすようで、目尻に熱い雫が溜まった。

それを舌先で舐めとって指を引き抜いたシズちゃんは俺を反転させて、無駄にでかい身体で覆い被さる。同時に熱いものがひたりと押し付けられて、そして、
「っんん…ッは…あぁ…ッ!」
シズちゃんの指は不意に俺の口と袖口の間に割り込んで強引に唇を開かせてきた。間髪置かずに貫かれて、思わず霰もない声が上がる。

先程のシズちゃんからの忠告を受けてか静かだけれど、後ろには確かに俺の愚妹達がいて行為を見られているのに、それを意識すればする程身体は熱くなって中を抉るものを締め付けた。
「っ…いつもより、余裕ねぇじゃねぇか」
その事に気付いたシズちゃんの楽しそうな声が耳のすぐ側で発せられる。うるさい、馬鹿、馬鹿。そう心中で罵っても俺の唇から漏れるのは貫かれる度に上がる嬌声だけだ。
「…っひ、あ…ッんぅ…っや、ら…もう…イく…ッ!…っあぁぁ!」
やはりシズちゃんもこの背徳的な行為に興奮を覚えているのか、いつもより強い突き上げに急速な射精感が湧き上がる。それは彼も同じだったようで一際深く内を貫かれて、俺達は夕闇の中果てたのだった。









「ほんと馬鹿じゃないのシズちゃんの馬鹿、変態。最低、絶倫、性欲魔神」
そして俺は今、あんな所で立ったまま行為に及ばれたが為に砕けてしまった腰をさすりながら、シズちゃんの背に揺られていた。流石に今回はやりすぎたと思ったのか普段ならもうキレてもいい頃合いの彼の堪忍袋の尾は未だその細いラインを保っている。いくら変態とはいえ愚妹達もどうやら女子という分類は捨てていなかったらしく行為が終盤にかかる前にその場を離れたようで、からかわれるだろうと覚悟して見上げた先には誰もいなかった。
しかしそれとこれとは話が別だ。
「どうやら途中で帰ったみたいだからいいとしても、今度人にあんなとこ見せたら別れるからね」
「わかったわかった!もうやらねぇよ!……俺も、あんなお前の顔見せんのはもう御免だからな」
「…何それ、誤魔化したつもりなのシズちゃん」
半ば叫ぶように宣誓したシズちゃんの耳は夕焼けのように染まっていて、見ているこっちが恥ずかしくなる。その空気を誤魔化すように肩口に顔を埋めた俺は甘くみていたのだ。俺の影響を色濃く受けて、俺以上に妙な性癖を得て育った妹達の事を。









「イザ兄、すごくエロかったね。何あの『やらぁ』って!そこらのAV女優よりエロいんだけど。あー鳴かせたいなぁ!」
「…淫」
「今度家に遊びに行く時は色んな玩具持ってって遊んであげようね!クル姉!」
「同…」






悪夢はまだまだ、終わりそうにない。







宙に溺れてしまえ








相馬様から頂きました
「シズイザで公開プレイ(甘裏)」というリクエストでした。甘々が何なのかちょっと一辺勉強してきなさいな状態ですが、一応悪態をつきながらも完全には拒めないのはイザデレのつもりです。
相馬様、素敵なリクエストありがとうございました!





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