※養子静雄(14)×保護者臨也(21)
捏造万歳!










臨也はとてもよく目立つ。それがどれだけの群集の中に紛れていようが、隠れようがその整った容姿と清廉とした空気からなる存在感は臨也を浮き立って見せていた。
「シズちゃん」
それは、同級生の友人の親という中年の男女ばかりの中にいれば当然のように一層引き立つ。

保護者の観覧席から柔らかな笑みを浮かべて手を振る臨也を目に留めた瞬間、俺の思考は止まった。
今日開催されている体育祭の案内のプリントは確かに臨也に見せない内に黙って処分したはず。なのに、何故ここに臨也がいるのだろう。
「なっ、なん…」
問おうとしても驚きに二の句が告げず金魚のように口を開閉させる俺に対して、臨也はその秀麗な顔に意地悪な笑みを乗せてみせた。
「俺に隠し事なんて100年早いよ、シズちゃん」
大方近所に住む同級生の母親(こいつは若かろうが中年だろうが誑し込むのが大層上手い)にでも聞いたのであろう臨也は俺を驚かせて満足したらしくいやに得意げだ。

「え…あれ折原くんのお兄さん?」
「すっごくカッコいい!」
「優しそうでいいなぁ」
保護者の壁へと近寄った俺の背後からはクラスの女子のそんな声が聞こえてくる。恐らく女子と言わず男子の視線すら一身に集めているのだろう、この男は。

(これだから、嫌だったんだよ)

臨也にプリントを渡さなかったのは保護者が来るのが恥ずかしいという類の反抗心からではない。羞恥とは正反対のベクトルで、臨也を誰にも見せたくなかったからだ。
臨也が誰かの目に触れるのが嫌だ。男でも女でも、見られるのは耐えられない。臨也の美しさは自分だけが知っていればいい。

子供染みた独占欲というのは理解していた。だけどそれを認めるのも癪で、嫌でも年齢差を感じさせる学校行事には尚更来て欲しくなかった。

「何で、来たんだよ」
「シズちゃんの勇士みたいじゃない。応援団、かっこよかったよ?次は騎馬戦だっけ」
プログラムを広げて目線を落とす臨也はともすれば同じ体操服を着ていてもおかしくないくらい若く見えるのに、俺との間は赤いロープで隔てられている。

その隔たりを取り去りたくてプログラムを捲る手を思わず握ると、陽光の下で赤い光彩を放つ瞳が俺を見て、細められた。
「お弁当一緒に食べようね。シズちゃんの好きなものいっぱい入れてきたからさ」
その笑顔は春の日差しよりも温かくて、でも眩しくて、ただ首を縦に振ることしか出来なかった。







君が僕を呼ぶ甘美な瞬間







静雄を団長にし隊!
白でも黒でも長くても短くても、学ランには夢と希望が詰まってます(´▽`)






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