※一部ぬるい性行為









私、狩沢絵理華は一般的にいうところの腐女子である。
それも実在する周囲の人間ですらボーイズにラブラブなフィルターつきで見ることが出来るそれなりに趣向の深い存在である事は自分で理解している。
「それにしたって、ねぇ」
目の前の光景は私じゃなくたってツッコミたくなるだろう(性的に突っ込むではない、念のため)

『このバカップル』と。





「シズちゃん」
「んだよ、ノミ蟲」
「俺あつーい。アイス食べたい、買ってきて?」
「自分で行け自分で」
「やだ。シズちゃんと離れたくないもん」
「…俺が行ったって同じだろうが」

ツッコミどころ
その1、イザイザは何故ベンチに座らず、それもシズちゃんの膝に向かい合う形で座っているのか。
その2、暑いなら引っ付いてないで膝から降りればいいんじゃないか。
その3、離れたくないと言いつつシズちゃんに行ってきてとお願い(これは既にシズちゃんがツッコミ済みだ。あ、この言い回し美味しい)。

まぁ、楽しいから指摘するのは置いといて。問題は私の横で血の涙でも流しそうな勢いで二人を見つめるドタチンだ。

聞いたところによるとドタチンは高校時代からイザイザの事を目に入れても痛くない我が子のように溺愛してきたらしい。そんな娘(?)が目の前で、そりゃもう堂々と男とイチャついているのを見て何も思わないはずがない。
「静雄…ッ俺は認めん、認めんからな…!」
これは二次元でも三次元でもしかり、父親はいつまで経っても娘を手放したくないものなのだ。

結局二人はシズちゃんがイザイザを抱え上げてアイスワゴンまで連れて行く形で合意したようで、今は仲良くアイスを頬張っている。正直お姫様抱っこに萌えたのは言うまでもない。


昼間はそのアイスを二人で交互に食べさせあうなんて事を始めたせいでドタチンが耐えきれなくなり、私達はその公園を後にしたのだけれど、その夜の帰り道。

薄い本屋に寄る為に珍しく一人で行動していた私は再び通りかかったそこで見てしまった。


「ア…っんん、ふ…シズちゃ…」
「…ッ臨也、力、抜け」
薄暗い、人も通らないような公園のベンチの裏。植えられた木々の影になって姿は見えないがそれは明らかに昼間聞いたばかりの二人の声で、私は思わず某忍者もかくやというスピードで近場にある木の裏側に貼りついた。

そのままじりじりと距離を詰めて木の葉の影からこっそり様子を窺うと、そこには一本の大木に寄りかかる形で立ったまま睦み合う二人の姿。
「あ、ッく…ん…はいっ…た…?」
息も絶え絶えに尋ねるイザイザは昼間の可愛らしさとは正反対の艶のある表情を見せていて、それは女の私よりも余程色っぽい。

「…ッああ、動く…ぞ」
「んうッ、あ…はっ…あぁっ、シズちゃ…!」
あの体勢なら察するに結構深く入ってるだろう。シズちゃんの表情は見えないが言葉尻から彼も余裕がない事が感じ取れた。シズちゃんの手はイザイザの腰辺りに支えるように添えられていて、突き上げる度に細い腰が揺れる様は淫猥だ。
いよいよ限界が近づいてきたのだろうか、肩に置かれていたイザイザの腕がシズちゃんの首にまわり、その金糸を引き寄せる。

しかし次の瞬間、私はその行為が衝動的なものでないことを知った。行為にすっかり溺れ、とろけた様を見せていた紅玉の瞳が突然鋭いものになって私を貫いたからだ。
それはほんの一瞬私に威圧感を与えた後、壮絶に美しい、しかし人の悪い笑みへと変えられる。

『       』

緩やかな弧を描いていた唇が涼しげな声を発することなく告げた台詞を目にした私は踵を返して元来た道を歩き出した。

とりあえず、次回の新刊のタイトルは「宵闇の秘め事in池袋」で決定。そんな事を考えながら、一刻も早く滾る気持ちを紙面にぶつける為に。







音速乙女!
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ぽん様から頂きました
「シズイザで池袋イチャイチャデート、夜は公園で青姦もどきそれを見ていた狩沢さん視点」というリクエストでした。
予想以上に狩沢さん視点が楽しかったです、が一人エルメスごっことかしたかったのに力量不足で出来なかったのが残念です。
しかし私のイチャイチャシズイザは膝の上抱っこが多いですね。好きです、膝の上抱っこ。
ぽん様、リクエストありがとうございました!






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