※先天性女体化臨也
愛情窒息死設定










「シズちゃんの下着の好みってどんなの?」
「ブ…ッ!!」
麗らかな春の日差しが降り注ぐ朝、あまりにも唐突すぎる問い掛けに俺は口に含んでいた味噌汁を勢いよく噴き出した。
「うわっ、シズちゃん汚いよ」
「手前…いきなり何を…ッ」

非難じみた声を零しながら布巾を手にする女の声は頭に入らない。つーかお前のせいだろこれ。
布巾で零れた味噌汁を拭きながら臨美は何を愚問をとでも言いたげな不思議そうな顔を向けてくる。
「だから、下着。シズちゃんってセクシー派?それとも清純派?私黒いのは結構持ってるんだけど、ちょっと新規開拓してみようかなぁなんて。どうせなら見る人の意見も取り入れたいじゃない」
私の下着見るのはシズちゃんくらいなんだし。と付け足す臨美の言葉はいつものように流々と紡がれるけれど不快感は感じない。

それどころかそれはつまり見るのが俺だけという意味で、正直嬉しかったりする。
「あー、いや、けど女物の下着なんてわかんねぇし」
しかし下着の好みを聞かれてすぐに答えられる程俺は種類を知ってる訳でもないし素直に答えられるはずもない。
そんな俺に臨美は更なる爆弾を放った。

「じゃあ一緒に買いにいけばいいじゃない」












何でこうなった。
俺か?俺の勉強不足が原因なのか?それとも素直になれないこの性格のせいか?
自問自答を繰り返しても答えが出るはずもない。
勉強不足といったって女性用下着のパンフレットなんて見るどころか貰うだけでも変態的だし性格は生まれもってのものだ。

しかしそれらが原因でこの現状を生み出していると思えば少しは改善を心掛けてみようかという気分にもなる。下着勉強は厳しいからとりあえず性格の改善から。
そんな決心すら決めてしまいそうになる程不釣り合いな、そう、俺は女性用下着専門店の試着室の前に佇んでいた。

俺をここまで引き摺ってきた女は何種類かの下着を手に試着の真っ最中で、つまり俺は女ばかりのレースやらパステルカラーやらで溢れた店内に一人きりの男。正直、視線が物凄く痛いのは俺の気にしすぎだけではないだろう。

「シズちゃん、ちょっとだけ開けて。これどう?」
そこに響いた声は天使か悪魔かはわからないがとりあえず状況を変えるもので薄いカーテンを少しだけ開いた俺は中に首を突っ込む形で臨美の姿を確認する。
そこにはいつもの黒い衣服とは対照的な純白の下着をつけた臨美がいて、白の上に淡い色のレースと小花が添えられた下着はこいつの違った魅力を引き出していた。

「あぁ、いいんじゃね…、…!…す、すごく…いい。似合ってる」
そんな臨美を直視出来ず、気恥ずかしさも相俟ってつい素っ気なさが表立つがさっき固めたばかりの決意を思い出して慌てて言い直す。
「!…シズちゃん、どうしたの?変な物でも食べた?」

しかし普段の俺をよく知る臨美は俺らしからぬ言葉に明らかに怪訝そうな表情を向けた。そんなおかしいみたいな反応をされると尚更恥ずかしくなるじゃねぇか。
「うっせ…たまにはいいだろ」
熱の募る顔を背けて呟けば口元に何か柔らかい感触。見ればいつの間にか間近にきていた臨美の顔が悪戯っぽい表情を作った後に屈託なく笑った。
「うん、すっごく嬉しい」
なんだ、そんな顔も出来んだな。


やけに冷静な頭が現実逃避から返ってきた瞬間、勢いよくカーテンを閉めた俺の顔は茹で蛸のようだったのだろう。浴びる視線の量が更に増えたのは言うまでもない。










もうちょっと続きます…!情は純情シズちゃんを応援します。獣も大好きですけれども!






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