来神時代
女体化注意報











「臨美、手前…っ」
「何?シズちゃん」
目の前の金髪が風に靡く草原のようにふるふると揺れる。
あ、そろそろ限界かな、なんて思いながらも至って平然とした態度で更に身を擦り寄せた。

彼は今絶対私を追い掛けるなんて行動は取れない。というか身動きが出来ない。


何故なら

「いい加減降りろって言ってんだよ!」
私が椅子に座るシズちゃんの腿の上に、更に座っているからだ。
「やーだよ。学校の椅子って木製で固いんだもん。シズちゃんは私の玉のような肌が傷ついてもいいの?」

もぞりと腿を動かせば、シズちゃんはその柔らかな感触に身を固くする。大方私の言葉でうっかり色々と想像でもしてしまったのだろう。
「固いなら、座布団でも敷きゃいいだろ…っ」
伏し目がちに頬を赤らめているシズちゃんは何だか妙に可愛い。私は今までどちらかと言われるまでもなく断然余裕のある年上の男派だったのだけど、その概念すら変えてしまう程に。

「座布団はあったかくないでしょ。私はシズちゃんの、適度に柔らかくてあったかい膝が、好きなの」
座布団ってシズちゃんてば古風過ぎとは思ったけど口には出さない。その代わりって訳じゃないけど、一文字一文字区切るのは勿論わざと。
より意識させる為にやっているんだけど、それにしても更に耳まで赤くなったシズちゃんは予想以上の反応で何だか楽しくなってしまう。

「〜…お前、自分が女って自覚あんのか…?」
あるよ。あるからこそ今シズちゃんに乗っかってアピールしてるんじゃない。でも蚊の鳴くような声で恥ずかしそうに尋ねる彼をもう少し見ていたくてとぼけたふりをした。
「え…なんのこと…?」
「手前は…っもうちょっと、危機感もちやがれ…」

こんな今時珍しいくらいの純情少年であるシズちゃんを前にして危機感なんて言葉は全く必要ないように思えるけど、それを不用意に口に出せば彼の低い沸点を越えてしまうような気がするから止めておく。私はもう少しこの状況を楽しみたいのだ。

「シズちゃんこそさ、こんな簡単に女の子を膝に乗せたりしちゃダメだよ。女って勘違いしやすいんだから。シズちゃんは妙に優しいとこあるから変な女に言い寄られちゃうよ」
脚を組み替えながら冗談混じりに言った言葉は本心で、シズちゃんは実は結構モテる。

普段は暴力的な行為に隠れて気付かれないけれど優しいし、背も高いし顔だって整った綺麗な顔立ちをしているからそれは当然だ。
それでも今まで彼女がいなかったのは偏にこの鈍さが原因だろう。これには現に私も苦労させられているのだけど。

「手前以上に変な女が何処にいんだよ…」
「ひっどいなぁ。こんな美少女捕まえてそういう事言う?」
私を膝から下ろす事はもう諦めたのだろう、若干疲れた面持ちで溜め息をつくシズちゃんの顔を覗き込めばその距離の近さに彼は途端に仰け反った。
ほんと、楽しい。

でも時っていうのは無情なもので、こんなに楽しく会話をしている私達の耳にも等しくこの時間の終わりを告げるチャイムが響く。
「ほら、授業始まんぞ。退けよ」
ようやく解放されると言わんばかりに安堵した表情のシズちゃんが勘に触って、ついに私は魔法の呪文を唱えることにした。
人を愛する私が唯一シズちゃんだけに告げるその呪文の裏側に、特別を隠して。


「シズちゃん、大っ嫌いだよ」








純情少年の憂鬱
(午後は楽しい鬼ごっこ)








瑠子様から頂きました

『臨也女体化で甘い感じで、シズちゃんが照れ屋さんでウブでそんなシズちゃん大好きみたいな甘々』
というリクエストでした。シズちゃん大好き過ぎて静←臨みたいになっていますがシズちゃんもちゃんと想っています。照れたりしたのはそういう感情がある故と思って頂ければ…!

瑠子様、リクエストありがとうございました。そして勿体ないお言葉もありがとうございます。私も瑠子様ラーヴ!です!(u☆za☆i)








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